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イサヤの投稿された作品が60件見つかりました。
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セタンスクレ30
何で来たの何でいんの何で来れんの?どうしてだよ…久々に見たその人はずぶ濡れの姿で俺の家の前にいる。"ブン殴りに来たんですか?""…まぁな"…だって。どうしようどうすればいい「すげぇびしょびしょ…」言うと"うるせぇ"なんて相変わらず悪態を突かれた「…とりあえず入ります?」あー俺何言ってんだろガキの頃からどんなに殴られようが捨てられた犬を拾ってしまうようなタチだったからこんな状態の人ほっとけないでしょ
イサヤ [1,166] -
セタンスクレ29
―ザアアァア。目の前の鉄で出来た扉の横には『佐木』と書かれたプレートがあった。(ここを訪れる事なんて一生無いと思ってたのに…)一度も押さずに暫くインターホンに伸ばしっぱなしだった手を引っ込めて携帯を開いた。「…」機械的なリズムが流れるこの音はこんなにも酷くもどかしいものだっただろうか。"-プルル,プルルルル"『…只今、電話に出ることが出来ません。ご用件の方は発信音の後に―』ピー…「……………出
イサヤ [1,124] -
セタンスクレ28
「犬みたいに所長に対してシッポ振りまくってたあいつが、それも急に何でなのか…って」「…そんなの…俺が聞きた…」「ま。…ねぇ所長、それはあなたがよく知ってるんじゃないですか?」「…え?」「俺はあなたじゃないんで、分からないですけど」言いながら俺はわざと意味ありげに笑った「俺じゃない…?俺…?」ああ、じれったいな「ええ。あなたの気持ちなんて、分からないです」沈黙所長は黙りこくって…「…っ!」あらら。真
イサヤ [1,146] -
セタンスクレ27
「俺、怖くなりましたよ。ガキながらに…自分の守り方を分かってたあいつが」…何だよ、それ。「狂気を愛情だと思い込む事で自分を守ってたそれがいつしか当たり前になってたんでしょうね」「だから、所長の事もわざと怒らしてたんだって、分かってしまったんですよ、俺。仕事だって…本当は出来るんでしょ?」…そうだよあいつは…本当…は「……馬鹿じゃねぇか…アイツ」「…そうですね」「…ガキじゃあるまいし……」俺は頭を痛
イサヤ [1,171] -
セタンスクレ26
暫く沈黙した後、意を決したかのように原島は深く息を吐いた「所長、佐木の裸…見たことあります?」「げは…っ!」あまりに唐突の質問に俺は煙草の煙にむせながら首を思い切り横にふった。「なん…っ」慌てる俺を余所に原島は至って真面目な顔をしている「ないですか?…腕とかは?」腕…? 何だ…?「…ねぇよ」第一気にしたことがなかった。あの時も俺は後ろからがんがん突かれてたし余裕無かったしそれに…佐木は脱いでなか
イサヤ [1,481] -
セタンスクレ25
次会ったらいつもどおりにしようってそう思ってた。 ソレハ、 ダレノタメ ?「佐木が所長の事好きなのは知ってますよ」さすがにヤられたとまでは言えなかったが佐木に告白されたと言ったら原島は引く事も驚く事も無くまるで当たり前のようにそう言った。「…は?」「て言っても…そういう意味でって確信したのは最近ですけどね」いやいやいや。どこで。何で。そうなる?「何でだよ…俺はいつもあいつにキレてたし、あいつ
イサヤ [1,623] -
セタンスクレ24
"佐木が自分から退職した理由を―…"なんで…「…何でその事…」目の前の男は皮肉そうに笑う「なんの前触れもなく"退職の決定と共に有給に入る"なんて…普通おかしいでしょ。…まぁ相手が佐木だから周りは納得してたみたいですけど」「…それだけの理由か」勘繰るように言うと"まさか"と言いながら原島は肩をすくませた。「本当は見ちゃったんですよ。あの日の朝…佐木が所長に退職届け出してたとこ」「…」「"辞めさせて下
イサヤ [1,437] -
セタンスクレ23
原島はこちらをチラリともせず『チャラけてないですよ。』と笑った「ただ何か、俺も色々面倒臭くて。」さっきからコイツは…いちいち遠回しの言い方に苛々する。「…じれったいんですよ。」言いながら原島はシャツのポケットから煙草を取り出した「吸っても?」俺が頷くと慣れた手つきで1本抜き出し火を点け不味そうに目を細めるすぅっと吐き出した紫煙と共に言葉を繋いだ「佐木の、退職理由を聞いて良いですか」ドクン、と胸が脈
クォタ [1,502] -
セタンスクレ22
「おい…」「…あー、あと牛ハラミ4つとー、握りサーモン6つで、そんでから海鮮盛りも」「かしこまりました」…どんだけ食う気だ。仕事終わり、家に帰ろうとする所原島に呼び止められた『奢るんで付き合って下さい』普段は女以外に出す金は無いやら奢れ奢れと言う男がどういう風の吹きまわしか「初めてですねぇ二人でご飯」俺の気持ちを余所に原島は楽しそうにしている「…お前、払う気さらさらないだろう」「え?何で?」「頼み
クォタ [1,665] -
セタンスクレ21
退職日を月末にしたのは引き継ぎがどうのとかでそれまでは有給として休みに入らせたらしい。…いやいや急過ぎるだろって話。だが周りは良くないレッテルのついてた佐木に納得したんだろう噂好きの女の子達がコソコソやってるくらいで変に勘ぐる様子はなかった。“クビなら仕方ない”とか。前なら俺もそれで片付けられた話かもしれない。でももう無理だ。俺は“また”余計な事を知ってしまった。まぁそれに深く関わってる人間なんて
イサヤ [1,329]