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小椋都 の投稿された作品が29件見つかりました。
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星に願いを NO.9
秀太郎の家から学校へ行き、バイトを終え、私は自宅に帰った。この日は母の声は聞こえず、鍵が開いていた。母が一人でいるのかと思った。「お母さん…?」部屋に明かりがついていたので声をかけると、食卓に座って酒を飲んでいる男がいた。マズイと思った。「礼子さんはまだだよ。」男は30位のエリートサラリーマン風だった。一度見た事があった。私は無視して自分の部屋へ向かった。男は私の腕を掴んだ。今まで恐れていたこと
小椋都 [9,159] -
星に願いを NO.8
「あのさ。」朝食を食べながら秀太郎が口を開いた。「季吹が嫌じゃなければ、ここに住んだら?」私は一瞬、自分の耳を疑った。だがすぐに我に返り、「一緒に住むなんてできないよ!」そう答えると秀太郎は真面目な顔をしながら続けた。「昨日の様子だと、季吹が安心して生活できる環境じゃなさそうだし、お前の学校ってカリキュラムきついだろ?勉強だって大変なのに。」秀太郎の言うことは当たっている。中学時代から私は常に母
小椋都 [7,968] -
星に願いを NO.7
秀太郎は私をバイクに乗せてそのまま走った。私は母の醜い声を聞かれたことと、体がだるいことでどうでもよくなっていた。気づいた時には秀太郎の部屋にいて、彼は私に水と風邪薬を私、彼のベッドで寝かせてくれた。秀太郎はタバコに火をつけようとしたが、私を気づかって灰皿にタバコを置いた。「伊吹くん…。ごめんね…。」私は申し訳なく思った。「気にすんな。早く寝ろよ。」優しく秀太郎は微笑んでくれた。「ひどい事言って
小椋都 [7,977] -
星に願いを NO.6
「ここでいい。」私は秀太郎に降ろしてもらうよう頼んだ。「家までちゃんと送るから。」そう言ってそのままバイクを止めなかった。私の家の前まで着いた時、嫌な予感は的中した。「あぁっ、すごい…っあぁぁっ…。」母のあられもない声が聞こえる。聞かれたくなかった。誰にも知られたくなかった。「いい年して男連れ込んで…毎晩…。」私は朦朧とする中で秀太郎に話した。秀太郎は黙って私の手をひいて再びバイクを走らせていっ
小椋都 [8,420] -
星に願いを NO.5
「季吹?何か顔色悪くないか?」秀太郎に気づかれた。昨晩、ファミレスでずっとエアコンに当たっていたせいか、朝からずっと寒気がしていた。「大丈夫だし。何でもない。」私は秀太郎から離れ、作業に集中した。秀太郎はすぐに私の隣に寄って来て小声で話した。「バイト終わったら待ってろよ。」それだけ言うと私から離れて行った。バイトが終わり、私はフラフラになりながら階段を降りて駐輪場へ行った。秀太郎を待つことなど考
小椋都 [8,100] -
星に願いを NO.4
家に帰ると相変わらず玄関には男の靴。今日はわりと歳いってるのか、サラリーマンが履きそうな靴だ。母の部屋からガタガタと規則正しい音が聞こえる。「あぁん…ダメよ…そんなふうに…あぁっ…。」「ここ…?ここどう…?」「あぁっ!そこっ…!」二人の卑隈な声が聞こえる。私はわざと荷物を置く音を大きくたてた。二人は一瞬シンとしたかと思うとクスクスと笑いだした。そして母が口を開く。「娘が帰って来ちゃった。」「いく
小椋都 [7,660] -
星に願いを NO.3
「男は…嫌い。」私は秀太郎を直視することができなくなった。秀太郎はタバコに火をつけた。そしてフゥーっと一息つくとゆっくりこちらを見た。「俺が女なら迷惑じゃないの?」秀太郎の厳しい声が聞こえる。「そういう問題じゃないの。」「お前、あんまり友達いないだろ。」あんまりどころか、一人もいないと思う。それが何だと言うのだろう。「どうでもいいでしょ。そんなこと。」私の言葉に秀太郎はすぐに返した。「良くないね
小椋都 [7,695] -
星に願いを NO.2
秀太郎は毎日私に話しかけた。「どこの大学?」「高校はどこだった?」「それ、どこで買ったの?」「ねぇ、季吹。」「おい、季吹。」秀太郎は女の子に人気があった。男友達もたくさんいた。カッコイイ秀太郎。さえない私。ますます、女の子達からの反感を買っていく私。「あのさぁ。」バイト後に駐輪場で秀太郎に話しかけた。「何?季吹から話しかけてくれるの初めてじゃない?」秀太郎の目は小学校の同級生みたいだった。「話し
小椋都 [7,962] -
星に願いを NO.1
「“いぶき”ってどんな字?」それが秀太郎に初めてかけられた言葉だった。「季節の季に吹く。」20歳の私は男が嫌いだった。秀太郎みたいな軽い感じの男は特に苦手だった。「みんなが“いぶき”って名前の女の子がいるっていうからさ。どんな子なのかなって。俺は上の名前が“いぶき”なんだ。イタリアの伊に吹く。」「…。」「…よろしくな。季吹。」私は秀太郎を無視して作業を続けた。バイトは仕事。お金を頂くからには真面
小椋都 [9,990]