官能小説!(PC版)

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ぺぺんたの投稿された作品が138件見つかりました。

 
  • さよならは五分前 9

    「あ、あそこに明かりついた家が…」簓の指し示す先に、こぢんまりした民家。 「…考えてみりゃ俺の家に行っても良かったんだ」そう思いながらも、海斗の本心は違っていた。 人。 動いている人間を見たかったのだ。 羽虫のように光に導かれながら、恐れていた。 簓はホッとしたように、確かな足取りで民家に向かう 海斗の心臓が狂ったように鳴り始めた。 大丈夫、大丈夫だ。 誰かがいる。 いるに決まってる。 「矢倉さ
    にゃんこ  [1,407]
  • さよならは五分前 8

    「そんなんで寒くない?」簓は言われて初めて気づいた。上着を車に忘れてきたこと。 「だ…いじょうぶです」大丈夫なわけない。唇も肌も青ざめて死人みたいだ。こんなときじゃなければ、休んで寝ていろとすすめる筈だ。 だが、今は…。 海斗はコートを脱ぎ、手渡した。 「汚れてるけどな」簓が首を降るのを、有無を言わさず羽織らせる。 「これじゃあどっちが跳ねられたんだかわかりゃしないな」苦笑まじりに呟く。 袖を通
    にゃんこ  [1,306]
  • さよならは五分前 7

    「俺も同じだ。それに君の言うのも最もだよ。俺が悪かったんだ、すまない」華奢な青年はあまりにも脆い。 支えてやらねば、と思う気持ちが海斗を冷静にさせていた。 何かきっと単純な理由があるんだ、そうに違いない。 大人しく頷く簓。不安げに見上げる彼を元気づけるように笑ってみせた 内心、恐怖で心臓は締め付けられてはいるのだが。 それでも、強がった効果はあった。 簓は笑顔というには余りにも控えめな微笑を返し
    にゃんこ  [1,342]
  • さよならは五分前 6

    こんなことがあるはずはない。 二人は事故からおよそ小一時間後も未だコンビニの中にいた。 警察は圏外。 店の電話はどこにも繋がらない。 そして一番二人を震撼させたのは…時計が止まっていることだ。 店の壁掛け時計。 店のレジの時計。二人の携帯。 海斗の腕時計。 全てが午後10時10分で時を止めている。 海斗は叫び出したい恐怖に胸を憑かれながらまだ、何か理由があるはずだとすがる…。 簓は完全なるパニッ
    にゃんこ  [1,163]
  • さよならは五分前 4

    ミニストップの中に入り、明るさと暖かさにほっとする…が、打ち身の痛みに思わず悲鳴が出る。 「大丈夫ですか?」おろおろと細い指を揉みしだいている青年こそ心配だが、とりあえずイートインに座り込む。 「あ、俺が…店員呼んできます」そこは甘えよう、と海斗はぐったりとテーブルに臥せった。 と、しばらくして更に平静を失った青年…簓が戻ってくると爆薬がしかけられているとでもいいたげに向かいの椅子に腰かけた。
    にゃんこ 題名間違えたので、変えました。  [1,265]
  • さよならは五分前 3

    額におずおずと当てられた布らしきものが、跳ねた相手からのものだと認識するのに大分かかった。 海斗は僅かに車に引っ掛かっただけらしい…幸いどこも骨は折れておらず、転がった時に出来た沢山の打ち身くらいか。 軽い脳震盪があとを引いているだけだろう。 「君は…?」大学生くらいの青年が、ビクッと怯えたように体を震わせる。 「あ、俺は、宮前簓です」こんな状況でも笑いがでた海斗は痛みにひきつりつつ微笑した。
    にゃんこ  [1,451]
  • さよならは五分前 2

    宮前 簓(ササラ)の意識が飛ぶ直前、過ったのは「給料日」という単語のみだった。 ドンッと激しく頭をハンドルにぶつけたあと、さらに激しい振動。 簓が何か妙な夢の奥底で誰かに揺り動かされ目覚めた時、傍には誰もおらず、ひたすらに頭の痛い自分がいたのだ。 「う…」口の中が乾いてる。 血の味がする…どこか切ったのかも…。 揺れているような頭を抑え転がるようにドアからでる アスファルトに足をつけた瞬間、自分
    にゃんこ  [1,627]
  • さよならの五分前 1

    気がつくと雨が降っていた秋も深まって、ゾクッとするくらい冷たい風がうなじを通り抜ける。 営業の仕事帰り、三本もの保険をまとめて上機嫌だったのに降りしきる雨が全部を帳消しにした。 矢倉海斗は忌々しげにため息をつく。仕事というくくりから抜けた今、俺の顔は明らかに仏頂面だろう。 構うもんか、ここにはクライアントも上司もいないんだからな。 最寄りのミニストップで暖かいコーヒーを飲みながら、さて傘を買った
    にゃんこ  [1,762]
 

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