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うなぎの投稿された作品が49件見つかりました。
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夜鷹の床(19)
「旦那」 声を掛けたのは釣糸を垂れる一人の侍。ちらりとお理津の方を見るが、すぐに川面へと視線を戻す。「釣れなさったかい?」「ふん、からっきしさ」「だったら帰る前にあたしなんか釣ってみたらどうだい?」 男は再びお理津を見た。落ち窪んだ目で足元から顔に掛け、値踏みするかのようにゆっくりと視線を動かす。――釣られるのは、あんたの方だよ―― お理津は笑みを浮かべながら、餌をちらつかせるように袂を捲って見せ
うなぎ [777] -
夜鷹の床(18)
夕暮れ迫る武家屋敷の一角。久間の屋敷の庭から、気合いの篭った声。「何かあったんか?」 答えずに柄を握る手に力を込める与兵衛。「お前が俺んとこで刀振るなんて、何年振りかなぁ」 鈍く輝く青白い刀身は空中で静止したまま微塵も動かない。与兵衛もまた目を瞑り、水を打ったような心。やがて背の高い庭木が風に揺れた、その瞬間。雑念を断ち斬るように気を込めた一閃は、青臭い風を両断した。「腕が鈍った」「傘なんぞ貼っ
うなぎ [684] -
夜鷹の床(17)
叫んだのはお理津であった。「体売るなんて、軽々しく口にするんじゃないよ!」「お前はいいから服を着ろ」 素っ裸で仁王立ちするお理津の姿が、そこにあった。与兵衛にしてみれば目の遣り場に困る。「好きでも無い男に抱かれんのが、どんなに辛いか。だからあたしは、こんな風になるしかなかったんだ。だからあんたには、あたしみたいになって欲しくないんだ」「お理津さん……でも、私……」 目に涙を浮かべるお理津に、狼狽
うなぎ [642] -
夜鷹の床(16)
ここまで濡れた事も、これ程快楽の波に襲われた事も無かった紫乃。自らの股間を弄る指は激しさを増すばかりで、止まらない。お理津もまた、ここまで太いものを、これ程奥まで挿れられた事が無かった。またそれは、一種異様な光景でもあった。 ガラリ、と、突如開け放たれた戸板に、二人は跳び上がる。「お前ら、何してやがる!」「きゃぁぁっ!」 叫んだのは紫乃。お理津から腕を引き抜き、剥いだ布団にくるまる。現れたのは他
うなぎ [703] -
夜鷹の床(15)
お理津はその桜色の乳首に触れた。刹那、紫乃の肩がびくりと震える。指先で弦を弾くように強く、そして弱く刺激する度、敏感に呼応する体。口に含み舌を圧し当てれば、無駄に抗うが如く芽を出す。「だめ……変になっちゃ……うっ!」「濡れてるよ?」「お、お理津さん、だって」 結っていない髪が乱れ、互いの心音が早まるごとに汗が滲む。「お尻、こっち向けて」 言われるまま、仰向けになったお理津に跨がる。少年のような尻
うなぎ [728] -
夜鷹の床(14)
久間は一層神妙な面持ちを深めた。「ただねぇ、万が一うちの奉公人が突き落としたとなっちまうと……」「うまくないな」「だろぅ?」「なぁ、久間よ。もし下手人が紫乃だったとしてだ、見つけたらどうする?」 久間は腕を組み考え込む。 雨戸の隙間から斜陽が射し込み、舞い上がる埃が光の筋を示している。あまりにも静か。そのせいか、お互いの息遣いすらも聞こえる。布団を被りながら右向きに横たわるお理津の目の前、同様に
うなぎ [725] -
夜鷹の床(13)
与兵衛はいつも昼近くまで寝ているのだが、この日は早目に目を覚ました。お理津と紫乃はまだ寝息を立てている。二人を起こさぬよう忍び足で寝床を抜け、土間で支度をする。雨戸を閉めたままの部屋は暗く、台所の風取り窓から洩れる光と雀の声でのみ朝だと解った。「あら与兵衛さん、今日は珍しく早いじゃないか」 くたびれた弁髪もそのままに、部屋から出てきた彼に声を掛けたのは長屋の奥、井戸端に群がる女房たちの一人。「ま
うなぎ [592] -
夜鷹の床(12)
与兵衛の家は真夜中にも関わらず閂が外されていた。お理津にとっての帰る場所がここにはあるのだ。家の中では与兵衛が寝息を立てている。彼を起こさぬよう、お理津と紫乃はそっと土間に忍び込むが、暗すぎて足元が見えない。どうにか框を見つけて上がろうと思った時、何かにつまずきそうになる。見るとそれは、皿に乗せられた一個の握り飯であった。「与兵衛さん……」 ふと、涙が込み上げて来るのを抑え、お理津はその巨大で不
うなぎ [666] -
夜鷹の床(11)
「あの……」 夜の虫たちの合奏に掻き消されてしまいそうなほどの、蚊の鳴くような声。「男の人って、なんでみんな助平なの?」「なんでって、そりゃぁそう言うもんだし、仕方ないさ。あたしも馬鹿だからうまく言えないけどね」 紫乃の体型は少々幼くも見える。しかしこの時代、十四と言えば何処かに嫁いでもおかしくない歳頃である。「お理津さんは男の人に色んな事されて、嫌じゃないの?」 お理津は少し困った顔をした。「そ
うなぎ [683] -
夜鷹の床(10)
「おぅっ……!」 大きな水音と飛沫。「おぶっ……ひっ……助け……」 足掻くも、昼間の雨で水かさの増した運河と、酒の回った体。紫乃は叫ぶでも無く、ただ無表情にその光景を見つめていた。足元では落ちた提灯に火が付いて燃える。やがて、水面は穏やかに波を消した。 蔵の壁は漆黒の板張りで、夜ともなるとまさに闇で塗りつぶされている。なのでお理津は、道端に膝を抱えて座る少女の存在になど全く気づかず、通り過ぎようと
うなぎ [732]