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ボーイズラブの官能小説に含まれる記事が1120件見つかりました。
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遠い日の唄 17
気づいたら、駅だったんださくらんぼ東根って、変な名前の 寒いの、凄く まっすぐ歩いていくとね…自販機あって…ジュース買おうとしたらお金なくて そしたら、いたの スーパーマンみたいに助けてくれたの ハガネさんていうの僕、カラオケってはじめてだよ そこでね、聴いたよ 僕の…いる場所 見つけたよ、僕のいる場所 ハガネさんだよ 僕のいる場所はハガネさんのいるとこだよ 鮎ちゃん、探して きっと待ってるから
にゃんこ [1,373] -
遠い日の唄 16
僕は目を覚ました。 目覚めてしまった…。 いつもと同じ真っ白な天井真っ白な壁、真っ白な布団 柔らかい布団でさえ重たく感じる不甲斐ない体。 涙だ。僕は泣いていた。暖かい液体が目のはしっこを伝ってきっと枕にシミを作るんだ。 体をひねってそれを見ることさえダルいけど。 僕のいる場所。 …戻って来ちゃったんだなあ…。 「ユウ、泣いてるの?」心配そうな、双子の姉の声で、僕は笑みらしきものを反射的に浮かべた
にゃんこ [1,486] -
遠い日の唄 15
「ユウ!!」桜を見上げていた影が、ギョッとしたように振り向いて…俺はその場に固まってしまった。 ユウじゃない。 ユウじゃない、ユウじゃない、ユウじゃない! 「…あの…もしかして…ハガネさん…?」? ジーンズに薄手のブラウス…灰色のニットという出で立ちから少年だと思ったのだが、声からすると少女だった。 …そして、そう。 彼女はユウに似ている。 背格好だけじゃなく、あの印象的な透明感のある瞳が似てい
にゃんこ [1,535] -
遠い日の唄 14
ユウ。 一週間たっても、俺は毎日毎日自販機のとこに足を運んでいた。 幽霊でも幻でもいいから、もう一度だけでもいいから、会いたかった。 単に、会いたかったんだ。 僕のいる場所。 その曲が流れると、俺は走った。 カラオケ店にも行った。 ユウ、どこにもいない。 帰りたくない、と泣いたお前は…どこに帰ったんだろう…。 雪は消え、変わりに暖かな日射しが差し込む日々。 女の子のお祭りの日が過ぎても、…もう、
にゃんこ [1,712] -
遠い日の唄 13
透き通っている…体を通り抜ける粉雪。 「ちょ…おい、ユウ」ユウは微笑んだ。 寂しそうでも、なんでもない心から幸せそうに。 唇が開いて文字を作った …声が聞こえない。 あ り が と 瞬間、ふっと消えてしまった…。 俺の頬に触れた雪みたいに消えてしまった。 嘘だ。 幻…? いま、ユウがいた場所に手を伸ばした…降りしきる雪は俺を通り抜けることはない…当たり前だ。 嘘だ。 居ないなんて、嘘だ。 振り返
にゃんこ [1,840] -
遠い日の唄 12
しばらくユウを抱き締めたあと、俺達はカラオケ屋を出ることにした。 ここでこうしていると、何かに急かされているようで落ち着かないから。 ユウを助けたい。 助ける術が解らない。 ユウは冷たい手に息を吐きかけながら横を歩く。 俺は何も言わずにユウの手を握り、自分のコートに引き入れた。 「鋼さん…」「ん?」ユウは、ふっとため息をついたあと俺にチラッと目を向けた。 「泣いてごめんなさい」バカ。 それだけ言
にゃんこ [1,943] -
遠い日の唄 11
静かに眼を開けたユウが、一番最初にしたのは微笑むことだった。 理不尽なくらい二人は知らない者同士…それでも、その笑みがあれば時間になんの意味があるだろうと思える。 乱れた服を恥ずかしそうに直すユウを、思わず抱き締めた。 「ユウ…話せよ、何を怖がってる?」腕のなかで硬くなるユウ…それはそのまま、心の硬さだろう。 話したくないなら聞かなくてもいいかもしれない。 ただ、もしも家の事情で家出してきたのな
にゃんこ [1,969] -
遠い日の唄 10
もどかしい思いで、ユウの白いブラウスのボタンを外す…。 抱きたい。 囁いた言葉に、ユウが頷いた。 当たり前みたいに。 何をどうしたんだろう。 とにかく夢中で、身体中にキスして…解らないながらに入れようとして、失敗してしまった。 ユウは当然ながらしたことがないから、キツすぎて入らない。 俺はそれでも構わなかった ごめんなさい、って泣きそうな頬にキスして抱き締めて…。 鋼さん、鋼さん…とうわごとみた
にゃんこ [2,125] -
遠い日の唄 9
ユウの言ってる意味は解らないが、ユウが本当に震えているのを感じていた。 消えてしまいそうなくらいか細い身体がしがみついてくる。必然だったんだろう。 きっと。 ユウは神様がくれた贈り物なんだ。 でなけりゃ、こんなに愛しいわけない…俺は一目惚れなんて信じないのに。 同性でも…こういう出逢いはあるんだろう。 ないなんて、誰にも言わせない。 構わない。 「ユウ」今度こそ躊躇なく、俺達は唇を重ねた。 ユウ
にゃんこ [1,898] -
遠い日の唄 8
唇を重ねて、無理に引き離してから愕然とした。 いや、な、なんで? としかいいようがない。 ユウは、びっくりしたように目を丸くしていた。 涙は止まった。 …よしよし、それならいいんだ。 いや、よくない…。 「…鋼さん、今の…キスだよね?」「ああ」頷くしかない。 あ〜、俺変態じゃん(汗)だが、ユウはニコっと笑った。 ちょっと、恥ずかしそうに。「僕、初めてだ」だろうな、とか思う。 あああ…可愛い! ど
にゃんこ [1,789]