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月夜の晩に 16

[1826]  にゃんこ  2010-06-11投稿

俺は、破裂しそうな心臓をおさえつけるのに必死で…もう必死で必死で必死で。
目眩、動悸、呼吸困難。
だれか助けて、と言いたいくらいの緊張。

同じ漢字を持つ優しい奴の助言に従って、俺はここまで来てしまった。

ああ。

俺のいつもの壁がない。
心細くて仕方ない。
あああ。

ベルに手が触れる。
笑っちゃうくらい震える指じっとり手の内がしめっている。

ああ。

俺は、本当に…。

先輩に出逢うまで本当に 「人と接する」ことをしてこなかったんだな。

俺は…。

扉の向こう側で、ガタンッと大きな音がして、俺は文字通り跳ね上がった。

え、ま、待って。
ちょっと…。

考える余裕もなく、扉は容赦なく開いて…。

先輩。

俺たちはお互い、騙されたみたいな顔して突っ立っていた。

ああ。

こんなの、どうしたらいいんですか…。

誰か、教えて…。


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