月夜の晩に 18
先輩がいる。
目の前に。
でも見れない、見上げられない、なんて言ったらいいかわかんない。
極度の緊張で頭がおかしくなりそうだ。
「…なに?」
久しぶりに、俺に向けられた言葉。
先輩の声。
俺は…声が出なくて、どうにもできなくて。
握りしめた手を開こうとしたけど、体が言うことを聞かなくて。
「…風見?」
名前…。
俺の、名前。
先輩の唇から出たのは俺の名前。
それだけでこんなに胸が熱くなるなんて。
視界がぼやけるなんて。
「…わっかんねえなあ…お前って…」
呆れたように(実際、絶対に呆れて)ドアにもたれて髪をぐしゃぐしゃにした先輩の気配がする。
出掛けなのに、髪型がくずれますよ、なんてつまんないことが飛び出しそうになる。
「なあ」
…。
「…なあってば!」
俺は今世紀最大の努力で顔をあげた。
先輩は
ぎょっとしたように見開いて、それから…
「それがお前の答えなんだな…」
と呟いた。
先輩は強く俺を引き寄せて俺の瞼にキスをした。
壁のない瞳に。
慣れないコンタクトをした俺の目に。
眼鏡は、もうない。
それが…確かな答え。
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「 にゃんこ No.違い、すんません(>_<)!まだちょっと続きます…読んで下さってる方々ありがとうです! 」の官能小説
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