悪魔ッコと僕〜あっちゃあ〜
チリン、チリン。
風をきる様に走る僕が疾る自転車は、都内から外れた少し古い木造の住宅が立ち並ぶ町並みを抜けていく。
学校は嫌いだけど、このチャリに乗れる登下校だけは好きだった。
風と一体になれる様で、全身が清々しい気持ちになるから……。
「俺は伝説のロードレーサー、ブイブイン」
たちこぎ状態で半身を揺らしながら調子にのってみる。
「なに、あの兄ちゃん?」
「見ちゃダメよっ」
幼稚園の子供と、その母親に明らかに『変質者』の目線を向けられている僕がいた。
「ゴホンっ」
咳ばらい一つ、無言でチャリをこぎ始める。
「おーいっ」
んっ、なんだ?
声が聞こえたので、後方に振り向いてみる……うん、誰もいない。
……と言うことは、さっきの声は神からの掲示か、未来からのメッセージか、はたまた宇宙からの毒電波か……まぁ、どれでもいいんだが。
「おーいっ」
続いて声が聞こえた瞬間、僕の前方に突然マウアが空から降りんした。
鳥の様な、大きくて黒い翼を両肩から生やしたマウアは、地上に足をトンっと付き着地した。
そして、その羽はマウアの着地と同時にバサっと一毛ずつに分裂し空に舞っていき跡形もなく消え去ってしまった。
「お弁当、忘れてるよ」
駆け寄ってきたマウアは、はいっと可愛いらしく両手で僕に風呂敷らしきもので包まれた小さな弁当袋を差し出した。
チャリをこぐ足を止め、呆然とマウアを見つめていた僕は静かに呟いた。
「まぁ、さっきの羽根は敢えてスルーしてやる、んで、その風呂敷包みはなんだ。もしや伝説の聖なる剣か?僕に世界を救う冒険に出てほしいのか」
「ん……、これはガンの為につくったお弁当」
何の企みがあるかしらんが、もらえるものは何とやらだ。
ありがたくいただこう。
僕はマウアから弁当を受け取ると、それを鞄の中に押し込んだ。
「よし、んじゃ帰れ」
さっき、マウアが飛んできた方を指差して僕は豪語した。
風をきる様に走る僕が疾る自転車は、都内から外れた少し古い木造の住宅が立ち並ぶ町並みを抜けていく。
学校は嫌いだけど、このチャリに乗れる登下校だけは好きだった。
風と一体になれる様で、全身が清々しい気持ちになるから……。
「俺は伝説のロードレーサー、ブイブイン」
たちこぎ状態で半身を揺らしながら調子にのってみる。
「なに、あの兄ちゃん?」
「見ちゃダメよっ」
幼稚園の子供と、その母親に明らかに『変質者』の目線を向けられている僕がいた。
「ゴホンっ」
咳ばらい一つ、無言でチャリをこぎ始める。
「おーいっ」
んっ、なんだ?
声が聞こえたので、後方に振り向いてみる……うん、誰もいない。
……と言うことは、さっきの声は神からの掲示か、未来からのメッセージか、はたまた宇宙からの毒電波か……まぁ、どれでもいいんだが。
「おーいっ」
続いて声が聞こえた瞬間、僕の前方に突然マウアが空から降りんした。
鳥の様な、大きくて黒い翼を両肩から生やしたマウアは、地上に足をトンっと付き着地した。
そして、その羽はマウアの着地と同時にバサっと一毛ずつに分裂し空に舞っていき跡形もなく消え去ってしまった。
「お弁当、忘れてるよ」
駆け寄ってきたマウアは、はいっと可愛いらしく両手で僕に風呂敷らしきもので包まれた小さな弁当袋を差し出した。
チャリをこぐ足を止め、呆然とマウアを見つめていた僕は静かに呟いた。
「まぁ、さっきの羽根は敢えてスルーしてやる、んで、その風呂敷包みはなんだ。もしや伝説の聖なる剣か?僕に世界を救う冒険に出てほしいのか」
「ん……、これはガンの為につくったお弁当」
何の企みがあるかしらんが、もらえるものは何とやらだ。
ありがたくいただこう。
僕はマウアから弁当を受け取ると、それを鞄の中に押し込んだ。
「よし、んじゃ帰れ」
さっき、マウアが飛んできた方を指差して僕は豪語した。
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