ライアー 8
夏休みもあと残り僅か。
この日は雨だった。
こんな日に限って誰も遊びに来ないから、僕は噂でしか聞いたことのないアキヒトのアパートへ行ってみようと思った。
どしゃ降りのなか、そのアパートは一際侘しげに佇んでいた。
薄汚れた壁には落書き。 壊れて使い物にならないような備え付けのポスト。
三階だてのアパートは死んでるみたいに無音で僕の足はすくんだ。
帰ろうか、と見上げたときアキヒトの汚れた水色のTシャツが干されているのを見つけた。
こんな雨だというのに取り込まれもせず放置されたシャツを見て、わけもなく悲しくなった。
三階の角部屋。
チャイムを鳴らす。
…でない。
もう一度鳴らそうとした時に、乱暴に戸が開かれた。
「なんだ、てめえは」
一見して「まともな大人」とは言えない男が僕をねめつけた。
「あ、アキヒト君…」
迎えに来ました、と続く言葉を飲み込んだ。
怖かった。
体格は今思うと大柄ではないが小学生には威圧感があった…なにより、目がまともじゃない。
「…へっ、オトモダチがいるとはなあ」
唇を歪めて、だらしないシャツとスウェット姿で笑う男。
この日は雨だった。
こんな日に限って誰も遊びに来ないから、僕は噂でしか聞いたことのないアキヒトのアパートへ行ってみようと思った。
どしゃ降りのなか、そのアパートは一際侘しげに佇んでいた。
薄汚れた壁には落書き。 壊れて使い物にならないような備え付けのポスト。
三階だてのアパートは死んでるみたいに無音で僕の足はすくんだ。
帰ろうか、と見上げたときアキヒトの汚れた水色のTシャツが干されているのを見つけた。
こんな雨だというのに取り込まれもせず放置されたシャツを見て、わけもなく悲しくなった。
三階の角部屋。
チャイムを鳴らす。
…でない。
もう一度鳴らそうとした時に、乱暴に戸が開かれた。
「なんだ、てめえは」
一見して「まともな大人」とは言えない男が僕をねめつけた。
「あ、アキヒト君…」
迎えに来ました、と続く言葉を飲み込んだ。
怖かった。
体格は今思うと大柄ではないが小学生には威圧感があった…なにより、目がまともじゃない。
「…へっ、オトモダチがいるとはなあ」
唇を歪めて、だらしないシャツとスウェット姿で笑う男。
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