ライアー 21
押し付けられた唇。
舌が僕の唇を開こうとした時、ようやく我に返った。
「っにすんだよっ!!」
突き飛ばされたアキヒトは面白そうに首を傾げた。
「キスだよ、キス。
お前のことだから誰ともしたことねえんだろ?
相手が女だろうが男だろうがやるこた同じ。
俺と寝てみる?
…悠…」
僕は唇を拭いた。
残る感触も全て拭った。
「お前、どうかしてる」
「そうだな、教えてやる。あの日俺が血ヘド出るまで殴られたのはな?
美恵子のせいじゃねえ…俺の歯が当たったからさ」
「何を…」
アキヒトは笑いだした。
「ウブだなあ…歯が当たったんだよ、あのやろうの汚ねえブツにな」
そんな。
衝撃に貫かれた僕を、アキヒトは立ち上がって冷たい目で見下ろした。
「俺には幸せになる権利があるんだよ。
邪魔するならお前だって容赦しない。
頼むから俺にそうさせるなよな」
アキヒト。
本気で僕を遠ざけたいと、この時から思っていたの?
僕の目が苦しかったの?
それならオアイコだよ。
僕だって苦しかったんだ。苦しむ君を感じるのが苦しかったんだよ。
舌が僕の唇を開こうとした時、ようやく我に返った。
「っにすんだよっ!!」
突き飛ばされたアキヒトは面白そうに首を傾げた。
「キスだよ、キス。
お前のことだから誰ともしたことねえんだろ?
相手が女だろうが男だろうがやるこた同じ。
俺と寝てみる?
…悠…」
僕は唇を拭いた。
残る感触も全て拭った。
「お前、どうかしてる」
「そうだな、教えてやる。あの日俺が血ヘド出るまで殴られたのはな?
美恵子のせいじゃねえ…俺の歯が当たったからさ」
「何を…」
アキヒトは笑いだした。
「ウブだなあ…歯が当たったんだよ、あのやろうの汚ねえブツにな」
そんな。
衝撃に貫かれた僕を、アキヒトは立ち上がって冷たい目で見下ろした。
「俺には幸せになる権利があるんだよ。
邪魔するならお前だって容赦しない。
頼むから俺にそうさせるなよな」
アキヒト。
本気で僕を遠ざけたいと、この時から思っていたの?
僕の目が苦しかったの?
それならオアイコだよ。
僕だって苦しかったんだ。苦しむ君を感じるのが苦しかったんだよ。
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