ライアー 28
ここは…空き地だ。
緑のクローバー。
青空、白い雲、真夏の匂い
アキヒトが笑っていた。 口にタンポポをくわえて
「食えたぜ、ほら」
と飲み込んだ。
僕も笑って真似をして、やっぱり食べれず吐き出した
たくさん走った。
手を繋いで、無意味に走った。
走っているうちにいつの間にか子供に戻っていた。
やせっぽちの少年2人。
彼は遠い目をしていた。 僕らは並んで座って、凄い早さで流れていく雲を見送っていた。
「綺麗だなあ」
そういう僕の目を、アキヒトは覗き込んだ。
「俺、そろそろ行くよ」
「…どうしても?」
アキヒトは立ち上がった。
「…夢、叶ったし」
アキヒトは微笑んだ。
「今、多分、誰よりも幸せだから」
「…そっか…」
ズボンについた芝をはたいて頷いた。
「ずうっと幸せだったのかもな…お前があの日、逃げずにいてくれてから…ずうっと」
そう言って、草原を行く。
振り返らないアキヒトに僕は「バイバイ!」と叫んだ
アキヒトは右手をあげた。
その腕が降ろされる直前、
僕は目を覚ました。
声もなく泣きながら。
逝ってしまった。
僕の親友。
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