それぞれの明日 13
こんなキスは、前にしたことがある。
俺から悠に、警告のキス。
同じ味がするなあ…愛情のない冷たい味。
「ってえ!」
俺は思い切り唇を噛んでやった。男の口端に滲む赤い液体。
俺の唇にも。
舐めると鉄の味がする。
「俺にキスしちゃうなんて脅しのつもり?兄さん」
「倉田。倉田圭。いや、ふざけただけ」
違うね。
あれは宣戦布告だ。
「まあいいや。あんまり付きまとうとケーサツ呼んじゃうよ…ね、圭さん」
「…またな、嘉納アキヒトくん」
また、か。
まあいいや。どうせ退屈してんだ。
新しいゲーム始めるのも悪くないな。
それから、奴はしばしば俺の病室を訪れるようになった。
観察するような目と、相反する人懐こい笑顔。
悠の不審げな顔にも怯まないし、俺の親にも
「高校のボランティア活動で知り合いまして」
なんて嘘ついてやがる。
俺は今のところ黙ってた。これはゲームだ。
面白いとこまで引っ張らないとな?
俺から悠に、警告のキス。
同じ味がするなあ…愛情のない冷たい味。
「ってえ!」
俺は思い切り唇を噛んでやった。男の口端に滲む赤い液体。
俺の唇にも。
舐めると鉄の味がする。
「俺にキスしちゃうなんて脅しのつもり?兄さん」
「倉田。倉田圭。いや、ふざけただけ」
違うね。
あれは宣戦布告だ。
「まあいいや。あんまり付きまとうとケーサツ呼んじゃうよ…ね、圭さん」
「…またな、嘉納アキヒトくん」
また、か。
まあいいや。どうせ退屈してんだ。
新しいゲーム始めるのも悪くないな。
それから、奴はしばしば俺の病室を訪れるようになった。
観察するような目と、相反する人懐こい笑顔。
悠の不審げな顔にも怯まないし、俺の親にも
「高校のボランティア活動で知り合いまして」
なんて嘘ついてやがる。
俺は今のところ黙ってた。これはゲームだ。
面白いとこまで引っ張らないとな?
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