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それぞれの明日 19

[1111]  にゃんこ  2010-08-04投稿
全てさらして、沈黙する圭に俺は何て言えばいい?
もともと仕組まれた出会いで、駆け引きで、敵だ。
厄介払い…いまなら出来る…。

してしまえ、と俺のどっかが囁く。
弱味を見せた人間を側に置いておくとお前はどんどん弱くなる。

悠が、いい証拠だ。

寂しいという感情を悠が引き出した。
圭はこの先、お前にどんな感情を植え付けると思う?
…違う…。

俺が怖いのは…。

すがることだ。
すがって振り払われることなんだ。
愛してる、って言いながらあの女は俺を捨てた。

あの男は愛してるって言いながら俺を女みたいに犯した。

愛してるって言いながら、悠は俺だけのもんじゃない
圭は?

数少ない本当の俺を見透かす人間。

両腕を強く回して、ベッドで俺は震えてる。

自分自身に復讐されてる。
欺いてきた人を、いま初めて思った。
俺には人を不幸にしても幸せにする力はない。

それなら圭も。

…。

「圭」

俺は、背筋伸ばして、圭をみる。

「俺の前から消えて」

病室の戸が閉まる音を聞いた瞬間、俺のなかの何かも戸を閉めてしまった。


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