晴れの日の一日,5
「ねぇ、克巳くんって歌上手なんだねぇ。」
「そうでもないよ。普通だろ。」
茶髪にふわふわの巻き紙の女の子。
さっきからやたらベタベタしてくる。
…はぁ、早く終わんねぇかな。
「よし、じゃあそろそろ出ますか!」
あれから三時間。
…やっと解放される。
「ねぇ、これからみんなでご飯行かない?」
「ぉ、いいね〜。
行こ行こ♪」
……勘弁してくれ。
カラオケを出て店までの道を歩いてると、またさっきの子が近付いてきた。
「克巳くん、楽しかったね♪ねぇ、今度は二人で遊びに行かない…?」
綺麗に付けられた睫毛と、テカテカ光るグロスの唇。
「ん〜、俺今金ないし。
それに最近忙しいし。」
「えー、お金は私が出すからぁ…。ダメ?」
上目遣いでお願いしてくる女の子。
今までは誘いに乗ってた。
けど今は……。
「じゃあ、アドレスだけでいいから教えて?」
素早い手つきでキラキラの携帯を取り出す。
「アドレスぐら…ぃ……………。」
…えっ?
「どうしたのぉ?」
夏輝さん?
俺の視線の先には、
女の子と手を繋いで歩く夏輝さんがいた。
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