シーン・セカンド
僕は悪い奴だ。
試している…気持ちを知りながら、試している。
君が僕を見る眼差しは、火と哀しみと影。
気づかない方がどうかしているよ。
だって、苦しくなる。
僕は君のためにフリをしてる。
知らないフリ。
無邪気なフリ。
僕の指先が君の手に触れると、そこから蒼い火花が散って、君は息を止める。
僕は…僕はさ、狡いんだ。君が僕を求めるように仕向けてる。
僕しか見えないように。
いつしか僕らは無限のループに絡めとられて、アリスみたいに暗い所をただひらすら堕ちていく。
どうしたらいいか解らないでいる。
導く兎もいないから。
肩に乗せた頭。
そこから君の熱を感じて僕は優しい寝息を作り出す。
君の視線は糸みたい。
いつか細く長く引き伸ばされてプツリと切れてしまうんだろうか?
その時僕はどうするだろう
光、揺れる。
閉じた目蓋の上にも光は通り過ぎていく。
ちらり、ちらり揺れる光は君の心から発する信号?
僕らは互いを欺いて、いつか来るべき決定打を待つ。
でも、とりあえずは…。
いまこの時は…。
たったの一駅分の。
僕らの時間。
それは、420秒。
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