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妄、想なんです 11

[1165]  にゃんこ〜今回No.滅茶苦茶でごめんなさい〜!文章はダブってないです(涙)  2010-10-09投稿
「来たね」

立ち入り禁止を示すロープの前に小早川…はいた。
僕はあれ以来「さん」づけで考えられない。
どう考えていいかわからないでいる。

キンモクセイの甘い香りが空気に溶け込んでいる。
夕闇を背にした青松館は寒々しく映り、僕は多少ぞっとした。
明らかに人気はなく…明らかにそれを意図して誘われたのだ。

いつもの可愛い小早川なんかじゃなく、黒猫が僕を見返している。
薄い茶の瞳が夕空のもとではまるで金色。

服は黒一色で上品なピーコートを着ている。

学校の「理央」でないことは一目瞭然だ。

うすら笑いが張り付いていて、僕は目を逸らした。
鼠になったような気がする
鋭い爪の餌食にされる直前の。

「何か用?」

「用があるから呼んだんだろ?行こう、英士」

馴れ馴れしい呼び方だが、口調は全く馴れ合ってはいない。

僕はしばし対峙しながら、唾を飲み込んだ。

いざとなれば、小柄な小早川より僕に分がある。

頷いて踏み出した。

真横に並んだとき、小早川は僕の腕に自らの腕を絡めた。

「ここから先はさ…君の妄想だよ」

「妄想?」

繰り返す僕を見上げた。
「そう…」

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