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紺碧の空に星 3

[1351]  にゃんこ  2010-10-20投稿

母さんは何事もなかったかのように僕に接した。

はじめから「春臣」など存在しなかったように。

そのうち近所の噂話に耐えられなくなったから、引っ越しをすることにした。
でも本当は、春臣の痕跡を消し去る為だ。

あの人達にとって、子供は僕だけなんだろう。

引っ越しをするときに、春臣の部屋を片付けてながら鍵のかかった戸棚を僕は、とりつかれた様に懸命に工具でこじ開けていた。

気になっていた。
昔から。

そして…。


…ああ。



見なければ…。


良かったのに。


僕は、それらを広げた中心で泣いた。

中には、春臣と両親の笑顔の写真が数枚。

そして赤ちゃんの僕が五歳の春臣に抱かれ眠る写真が一枚。

幼い僕が春臣に宛てた手紙が一枚。

そして、綺麗に畳まれた手紙が一枚。


手紙は、綺麗な筆跡で書かれていた。

遺書だ。

僕と同じ位、それ以上に死にたいと望んでいる姿があった。

写真はどれもクシャクシャで、半分以上破られた跡のある物もあった。

けど、僕と春臣の写真だけは綺麗で…。

裏には春臣の字で

おれのおとうと!
だいすき!

と書いてあった。


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