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two YOU 27

[3336]  輪廻  2010-11-20投稿
「真希?」

「嘘つき!
瀬下くんと仲良く話してるとこ、
見たもん!」


次の瞬間、真希の目が真菜を捉え、
蓮一がドアを開けたと同時に、
真希の手のひらが真菜の頬を力強く叩いた。


「!!!」
「!!?」


真菜はそのまま膝から崩れ落ちた。
蓮一は真菜の横にしゃがんだ。

「!!…蓮兄…ちがう!違う……違うの!」

「真希、お前の本当の気持ちが……、
分かんねェよ…」

「瀬下くんは……友達だから………仲良くしていたけど……違うの!……違う…」

「なら、なんで真菜を殴る」

真菜は俯いていたが、
明らかに泣いていた。

「違う…違う…!!…蓮兄なら、蓮兄は…信じてくれるよね…!?」

「真菜には信じてもらわなくていいのか?」

真希も涙をこぼし、蓮一に許しを乞った。

――優との関係に嘘はつきたくなかった。
彼の境遇に同情しなかったと言えば嘘になる。
彼が悪い人にはとても見えないし、話していて心地良かった。
今度彼の試合を見に行く約束もした。――

それなのに、恋愛感情は無い、
などとこんな話が通るはずはなかった。

そして何より真希が真菜を殴ったのは、
彼女自身気付いていない¨理由¨からだった。


真菜に『見抜かれていた』からだった。


優への微かな恋愛感情を、
『見透かされていた』からだった。


それを真希自身、
『認めたくなかった』からだった。


蓮一も優も、
真希は独占しようとしていた。
無意識に。

「真希…」

真菜が口を開いた。

「好きなんでしょ。瀬下くんが…」

「っ………!!!ぁ…
あんたっていっつもそう!!

人の事ばっかりちょっかい出して!!
何が楽しいのよ!!そうやっていっつもいっつも!!!いっつも……いっつも…。
私から……
……蓮兄を…」


真希は悔しくて堪らないという表情で、
蓮一と真菜を見た。


その後一呼吸置き、
涙を拭って、
真菜を睨みつけた。

「そうやって……ずっと……
ずっと蓮兄に甘えてなさいよ!!!」


真希は勉強道具の入った鞄と、
財布を持って、家を出て行った。


勢いよく閉まったドアの音が、
静まり返った家にいつまでも反響した。

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