さよならは五分前 2
宮前 簓(ササラ)の意識が飛ぶ直前、過ったのは「給料日」という単語のみだった。
ドンッと激しく頭をハンドルにぶつけたあと、さらに激しい振動。
簓が何か妙な夢の奥底で誰かに揺り動かされ目覚めた時、傍には誰もおらず、ひたすらに頭の痛い自分がいたのだ。
「う…」
口の中が乾いてる。
血の味がする…どこか切ったのかも…。
揺れているような頭を抑え転がるようにドアからでる
アスファルトに足をつけた瞬間、自分が人を跳ねそうに…いや、跳ねたことを思い出した。
「う、嘘だ…」
だが、現実だ。
転がっている黒い塊も、ボンネットがひしゃげて電柱にぶつかっている車も。
跳ねる直前、急にハンドルを切り、引っ掛けた直後に電柱にぶつけたのだ。
簓はギュッと目を閉じ、もう一度開けた。
が、なくなるはずはない。
萎えて地面に吸い込まれそうな脚を懸命に動かし、塊の傍へ行く。
まさか…死んでないよね?
嫌だよ、俺、まだ大学生なんだ、やりたいこともあるのに…
触れるのも怖くて、傍らに跪き、左手を伸ばした瞬間黒い塊…男が呻いてゆっくりと体を起こした。
生きてる!神様!
簓は天を仰いだ。
ドンッと激しく頭をハンドルにぶつけたあと、さらに激しい振動。
簓が何か妙な夢の奥底で誰かに揺り動かされ目覚めた時、傍には誰もおらず、ひたすらに頭の痛い自分がいたのだ。
「う…」
口の中が乾いてる。
血の味がする…どこか切ったのかも…。
揺れているような頭を抑え転がるようにドアからでる
アスファルトに足をつけた瞬間、自分が人を跳ねそうに…いや、跳ねたことを思い出した。
「う、嘘だ…」
だが、現実だ。
転がっている黒い塊も、ボンネットがひしゃげて電柱にぶつかっている車も。
跳ねる直前、急にハンドルを切り、引っ掛けた直後に電柱にぶつけたのだ。
簓はギュッと目を閉じ、もう一度開けた。
が、なくなるはずはない。
萎えて地面に吸い込まれそうな脚を懸命に動かし、塊の傍へ行く。
まさか…死んでないよね?
嫌だよ、俺、まだ大学生なんだ、やりたいこともあるのに…
触れるのも怖くて、傍らに跪き、左手を伸ばした瞬間黒い塊…男が呻いてゆっくりと体を起こした。
生きてる!神様!
簓は天を仰いだ。
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