さよならは五分前 6
こんなことがあるはずはない。
二人は事故からおよそ小一時間後も未だコンビニの中にいた。
警察は圏外。
店の電話はどこにも繋がらない。
そして一番二人を震撼させたのは…時計が止まっていることだ。
店の壁掛け時計。
店のレジの時計。
二人の携帯。
海斗の腕時計。
全てが午後10時10分で時を止めている。
海斗は叫び出したい恐怖に胸を憑かれながらまだ、何か理由があるはずだとすがる…。
簓は完全なるパニックの一歩手前だ。
「おかしいですよ、こんな…何か…何かあったんですよ…」
語尾が哀れなくらい震え、握りしめた拳は血管が浮くほど白い。
「落ち着け」
弾かれたように、簓の声が上がる。
「落ち着け?落ち着けですって?…貴方が飛び出さなければ…事故になんてならなかったんだ!!
こ、これ、こんなことにだって、なってなかったかもしれないんだ!!」
そこまで叫んで、顔を歪めた。
両手で顔を覆い、テーブルに座り込む…数秒の怒りは炎に投げ込まれた氷のようにすぐさま溶け去った。
「すみません…俺は…怖くて…何だかわからない…」
海斗は脚を引きずりながら簓の肩を掴んだ。
二人は事故からおよそ小一時間後も未だコンビニの中にいた。
警察は圏外。
店の電話はどこにも繋がらない。
そして一番二人を震撼させたのは…時計が止まっていることだ。
店の壁掛け時計。
店のレジの時計。
二人の携帯。
海斗の腕時計。
全てが午後10時10分で時を止めている。
海斗は叫び出したい恐怖に胸を憑かれながらまだ、何か理由があるはずだとすがる…。
簓は完全なるパニックの一歩手前だ。
「おかしいですよ、こんな…何か…何かあったんですよ…」
語尾が哀れなくらい震え、握りしめた拳は血管が浮くほど白い。
「落ち着け」
弾かれたように、簓の声が上がる。
「落ち着け?落ち着けですって?…貴方が飛び出さなければ…事故になんてならなかったんだ!!
こ、これ、こんなことにだって、なってなかったかもしれないんだ!!」
そこまで叫んで、顔を歪めた。
両手で顔を覆い、テーブルに座り込む…数秒の怒りは炎に投げ込まれた氷のようにすぐさま溶け去った。
「すみません…俺は…怖くて…何だかわからない…」
海斗は脚を引きずりながら簓の肩を掴んだ。
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