さよならは五分前 11
冷たい沈黙。
一言でも発したら止まらなくなる、お互い。
二人は静まり返ったアパートを見上げ、階段を上がっていった。
鍵を差し込み、海斗が簓を招く。
「お邪魔します…」
久々に出た言葉は空を漂い虚しく響いた。
スイッチを入れると、すぐに明るくなった。
電気はつくらしい。
八畳と六畳の2DK。 白い革張りのソファに落ち着かない様子で簓が座ったのを見て、海斗は背広を脱ぎネクタイを緩めた。
「着替え適当に出すから…シャワーも出るかな…電気はついたんだし」
「今日はいいです。俺…もう…」
ネクタイをほどいて首に引っ掛けたまま、手で顔を覆った簓の横に腰をおろした
「俺だって怖い」
顔をあげた簓の目が、潤んでいた。
恥ずかしそうに、誤魔化して顔をふく。
「矢倉さんは強いですよ。こんなわけわかんない状況でも冷静だし…俺なんか怖くて…ほら」
自嘲気味に手を見せる。 白く細い指が小刻みに震えていた。
痛々しいくらいだ。
人を跳ねた動揺から、まだ醒めてはいないうちにこんな状況…無理もない。
まだ海斗のコートを着たままの肩にそっと手をかけた
一言でも発したら止まらなくなる、お互い。
二人は静まり返ったアパートを見上げ、階段を上がっていった。
鍵を差し込み、海斗が簓を招く。
「お邪魔します…」
久々に出た言葉は空を漂い虚しく響いた。
スイッチを入れると、すぐに明るくなった。
電気はつくらしい。
八畳と六畳の2DK。 白い革張りのソファに落ち着かない様子で簓が座ったのを見て、海斗は背広を脱ぎネクタイを緩めた。
「着替え適当に出すから…シャワーも出るかな…電気はついたんだし」
「今日はいいです。俺…もう…」
ネクタイをほどいて首に引っ掛けたまま、手で顔を覆った簓の横に腰をおろした
「俺だって怖い」
顔をあげた簓の目が、潤んでいた。
恥ずかしそうに、誤魔化して顔をふく。
「矢倉さんは強いですよ。こんなわけわかんない状況でも冷静だし…俺なんか怖くて…ほら」
自嘲気味に手を見せる。 白く細い指が小刻みに震えていた。
痛々しいくらいだ。
人を跳ねた動揺から、まだ醒めてはいないうちにこんな状況…無理もない。
まだ海斗のコートを着たままの肩にそっと手をかけた
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