さよならは五分前 16
「矢倉さん…」
揺さぶられて、まどろんでいたことに気づいた。
常に暗いから寝たいときに寝るしかない。
そして食べたい時に食べる…まるで動物だ。
膿んだ生活だ。
「風邪ひくよ?」
体感的にはきっと一週間は経っている…気がする。 他の電化製品は動くのに時計は動かない。 象徴的だ。不可思議だが、俺の知ったことじゃない。
海斗は伸ばされた簓の手を掴んだ。
日を重ねるごとに、生きている感覚が薄れる。
だが簓と触れあうと僅かに実感できる。
不意に、驚くほどなんの脈絡もなく、簓を引き寄せた
「矢倉さ…えっ?」
引き寄せて、抱き締めていた。
どうせ閉じ込められているなら、していけないことなんて何一つありはしない。
「ちょ…な、何で」
くるり、と向きを変え、簓を組み敷く。
「わからない」
海斗の言葉に、簓が睨んだ
「ねえ…ちょっと…困る」
…こいついつから敬語やめたんだっけ?
「いいじゃないか…どうせ俺たちだけだ」
「最低ですね」
ああ、そうだとも。
俺の方が怖いんだ。
だから忘れたいんだ…この現実を。
海斗は目を開けたままの簓に唇を重ねた。
揺さぶられて、まどろんでいたことに気づいた。
常に暗いから寝たいときに寝るしかない。
そして食べたい時に食べる…まるで動物だ。
膿んだ生活だ。
「風邪ひくよ?」
体感的にはきっと一週間は経っている…気がする。 他の電化製品は動くのに時計は動かない。 象徴的だ。不可思議だが、俺の知ったことじゃない。
海斗は伸ばされた簓の手を掴んだ。
日を重ねるごとに、生きている感覚が薄れる。
だが簓と触れあうと僅かに実感できる。
不意に、驚くほどなんの脈絡もなく、簓を引き寄せた
「矢倉さ…えっ?」
引き寄せて、抱き締めていた。
どうせ閉じ込められているなら、していけないことなんて何一つありはしない。
「ちょ…な、何で」
くるり、と向きを変え、簓を組み敷く。
「わからない」
海斗の言葉に、簓が睨んだ
「ねえ…ちょっと…困る」
…こいついつから敬語やめたんだっけ?
「いいじゃないか…どうせ俺たちだけだ」
「最低ですね」
ああ、そうだとも。
俺の方が怖いんだ。
だから忘れたいんだ…この現実を。
海斗は目を開けたままの簓に唇を重ねた。
感想
感想はありません。