さよならは五分前 21
「…一生口を聞かないつもりかな?」
海斗はコンビニの弁当を食べながら、リビングのソファーに腰かけている簓に声をかける。
あれから、体感的には多分5日…それ以上は経つ。
相変わらず暗闇。
相変わらず時は動かない。
そして簓はあれっきり一言も口を聞かない。
まあ、無理ないか。
レイプに近いからな。
…いや、レイプか。
だが、不思議なのは簓が出ていかないことだ。
この世界に俺たちしかいないのなら、家なんて幾らでも選べる。
自宅に帰ることも出来る。
だが簓はここにいる。
蒼白いような怒りのオーラを纏って、ひたすらに沈黙している。
本当に殺すつもりでチャンスを窺ってるのかも。
まあ…ね、いいけど。
いいよ、本当に…。
この世界に来てはじめに襲ったのは恐怖。
次は倦怠感。
今は絶望。
簓に口を聞いて貰えないことはかなり堪えている。 後悔もしてる。
謝ったが、ただ、まばたきのない目で見つめ返されただけ。
苛々する。
なんなんだ、部屋を移れよ
いつまでも一緒にいるな。
いや、居てくれ。
そんな心のシーソーに疲れている。
海斗は無言の簓に近づいた
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