さよならは五分前 23
叩きつけられたドアを、しばらく見つめて、海斗は外へ飛び出した。
一人にさせておけない!!
俺はバカだ!
どこだ?
どこにいるんだ!
物音ひとつしない世界で、道路に佇んで…あのコンビニへ駆け込むも誰もいない
なんで泣いたんだ、簓。
振り向いた顔は傷ついていた。
わからないことばかりだ、なんで泣くんだ。
「簓!!」
大声で叫んで、とにかく走って、捜し回った。
考えてみれば広い世界で、向こうに会う気がなければどうやって見つける?
無理だ。
…二度と、会えないのか?
思考は海斗を居抜き、動けなくする弓矢のようにその場にとどめた。
会えなくなる?
簓と?
耐え難い痛みが全身を駆け肉体の疲れなど消し飛ばした。
妙に不安定な子供の目。 意外な強さ。
それらが混在する不可思議な心。
はにかむような微笑、自分はとるに足らないと泣いた顔。
抱き締めた温度、声と熱。
今になって、こんなに…。
言い訳してみたって、こんなに愛しいんじゃないか。
簓。
簓、簓…。
足が動かなくなるまで、俺はお前を捜すから。
そんで、涙の意味を教えてくれよ。
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