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ラック・ガール #16

[2787] 輪廻 2011-01-29投稿




「ちゃ………………リルナちゃん……!!」

耳鳴りの向こうで、微かにマスターの声がして、リルナはぴくっと指を動かした。

「…………!……」

「喋らなくて良いから!
すぐにシャワー浴びましょう!」

抱き上げられたリルナは、そのまま眠りに落ちそうになった。
小便をかけられ、残りはあと十数人というところまでは覚えているのだが、とリルナは思い返していた。

不意に温かいシャワーのお湯が、体を包んだ。
マスターが丁寧にリルナの体を洗い始めた。

「私がリルナちゃんに近づけた頃には、もうあなたは意識が無かったの。それでも、お客さんは満足してくれてたみたい」

リルナは悔しさと情けなさから、静かに涙を流した。

「……」

「…泣かないで。正直、規格外だったのヨ…。明日からの分は日を改めてって事にさせてもらったわ…。今回は中止か、もう一度他のコに頼むしか……」

リルナはマスターの腕を、目一杯掴み、眼で訴えたが、マスターはリルナの手を優しくとった。

「気持ちは嬉しいワ。だからと言って、従業員にこれ以上無理はさせられない」

「〜〜〜〜〜〜〜っ!!!」

涙を流して顔をくしゃくしゃにしても、リルナの体をマスターは静かに洗うだけだった。

しばらくして、少し声が出るようになった。

「マスター……。ごめんなさい…」

「いいのヨ。今日はなんとか凌げたじゃない。記録更新ヨ」

「明日の……お客様は…?」

「お金はまだだから、事情を説明してキャンセルになるわネ」

「ごめんなさい……ごめんなさい…」

「いいから、明日も学校ヨ?早く寝なさい」

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