ラック・ガール #29
蹴人がリルナとの待ち合わせに到着したのは、予定の十分前だった。
しかし、彼女も既に到着していた。
急な呼び出しに、快く応じてくれたことに感謝しながらも、蹴人は少し緊張していた。
「よう。早かったな」
「そっちこそ、早いね」
お互いに見慣れない私服姿にどぎまぎしていたが、
蹴人はリルナに話したい事があると呼び出したので、
彼から話が切り出された。
「俺、藍原が……サッカー部のヤツから告白されたって…聞いた」
リルナは忘れていたことを瞬間で思い出した。
あの話は無論、噂で広まっていた。
しかし、リルナから蹴人に伝えてはいなかった。
「うん………断っちゃったよ」
「そっ………か」
俯いた二人の目線が、
一瞬、重なった。
「!」
「…!」
リルナはどうしていいか分からなかった。
恐らく、蹴人は告白の結果を知りたかったのだろうと思った。
(久波くんのばか……)
「ぁ……歩こっか」
「あ…ああ、そうだな」
無言で歩く昼下がりの街は、
ひどく暗かった。
雲が少し厚くなって、
時々、太陽を遮るからか。
――何かほかに、暗く見える要因があるとすれば…。
しかし、彼女も既に到着していた。
急な呼び出しに、快く応じてくれたことに感謝しながらも、蹴人は少し緊張していた。
「よう。早かったな」
「そっちこそ、早いね」
お互いに見慣れない私服姿にどぎまぎしていたが、
蹴人はリルナに話したい事があると呼び出したので、
彼から話が切り出された。
「俺、藍原が……サッカー部のヤツから告白されたって…聞いた」
リルナは忘れていたことを瞬間で思い出した。
あの話は無論、噂で広まっていた。
しかし、リルナから蹴人に伝えてはいなかった。
「うん………断っちゃったよ」
「そっ………か」
俯いた二人の目線が、
一瞬、重なった。
「!」
「…!」
リルナはどうしていいか分からなかった。
恐らく、蹴人は告白の結果を知りたかったのだろうと思った。
(久波くんのばか……)
「ぁ……歩こっか」
「あ…ああ、そうだな」
無言で歩く昼下がりの街は、
ひどく暗かった。
雲が少し厚くなって、
時々、太陽を遮るからか。
――何かほかに、暗く見える要因があるとすれば…。
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