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ラック・ガール #49

[2458] 輪廻 2011-03-05投稿
リルナの瞳から零れた涙が、
二人の唇に染み込んだ。

「………………」

「……リルナ……。
お前がどんな人間だろうと、
俺には関係無いからさ。

だから、お前。

もう、意地張るなよ。

マスターへの恩返しは、
お前が普通の女として生きることなんじゃないか?」

「………そんなの…。
私にはできっこない……。

証拠はなくなっても、
沢山のお客さんが私を覚えてる…。

そんな私と一緒にいたら…きっと……。

嫌な思いするから…」

蹴人はリルナの頭を撫でた。

「そんなもんなら、
いくらでもしてやるさ。

お前と…リルナと一緒にいられるなら」

「……なんで……。
…私にはなにも無いよ………?
返せるものも…出来ることも…」

「………見返りが欲しいから…お前のそばにいるわけじゃない」

「…………分からないよ…。
私は…今まで男の人は……何か目的があって…女の人を選ぶんだって…思ってて…。
その人の体とか…言葉とか…。

単純にストレスの捌け口だったりもしたよ…?

そばにいるだけなんて…

分からないよ………」

リルナは蹴人の指を握った。

「……………」

「ね、私は………私には何ができる?
何があるの…」

蹴人はたどたどしく握られたリルナの手を、
思い切り握り返した。

「心だ」

「…こころ…?」

「お前が、今まで生きてこれたのは、
その心があったからだ。
いろんな目に遭ってきたって、
リルナが休んでた時にあの二人から聞いたよ。
今まで…大変だったんだろ?
でも、お前は誰にも何もしないで、
全部、自分の中だけで解決してきた。

お前にはそんなに強い心があるじゃないか」

リルナは首を横に振った。

「そんなの…!!
そんなの……私は…逃げていただけだよ…今までだって…。
今だって……マスターを犠牲にして…」

「……そうやって、俺からも逃げちまうのか…?」

「え…」

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