クレイジーキャット 14
「やあ、吉川琉聖君」
俺はピタリ、と足をとめ振り返った。
庄野碧。
この学校にきてから早、一週間。
まるで前からずっといたかのように馴染み、それでいていつまでも新鮮な存在。
相変わらず上品なスーツを着て、優雅に微笑している
俺は眉間を寄せないよう意識して見返した。
「なんすか」
庄野はゆっくり近づき、俺の肩に手をかけた。
「安東君と付き合ってるのかな?」
さらっと発っせられた言葉
「付き合ってますよ、友達ですから」
俺は真っ向からぶつかった
不快だ。
コイツの何もかもが。
「ふん、なかなかうまいなあ…でもね、一言忠告…あの猫は君の手には負えないよ…何しろ淫乱だから」
心底、ぞっとした。
校内で、平気でそんなことを口にするとは。
「あいつは…猫なんかじゃない」
クククッ、と喉奥で笑い、耳元にそっと囁いた。
「僕がアイツをそうしたんだよ?知ってるかい?
僕じゃなきゃ満足できない身体にしたんだ。
男でも女でも、あれは満足できないよ。
ましてや、君みたいな…なんてことない少年にはね」
庄野の声は甘くて溶けるみたいな響き…その癖、感情はなかった。
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