クレイジーキャット 21
「やあ、来たね、吉川君」
明らかに俺はどうかしている。
こんな防音の密室に2人きりでいるとは。
「大丈夫、今日は部活もないらしいし…職員室じゃ話せないこともここならね」
グランドピアノに体を預け品定めするように俺を見る
なぜだろう、ただの言葉もコイツが言うと含みがあるように聞こえ…淫靡な匂いさえする。
庄野はピアノの蓋を開け、軽やかにドビュッシーの月の光を弾き始めた。
「ピアノを聴きたくてきたんじゃないけど」
その素晴らしい指捌きに魅せられながら、かろうじて呟いた。
庄野は俺に微笑んだ。
初めてみせた無邪気な笑顔だ。
そんな顔をするとまるで害のない人間に見える。
「もう少し傍においで」
柔らかな旋律にのるような甘い声。
俺は、どうしようもなく心臓が高鳴っていた。
離れた方がいい。
コイツは危険だ。
それなのに足は踏み出し、気づけば庄野の真横に俺はいて…
ふいにピアノは鳴り止み、庄野は冷たい指で俺の手を取った。
「この前はすまなかった」
…どうしたら
手を手に添える、それだけの動作を
これだけ甘美に感じさせられるんだろう?
明らかに俺はどうかしている。
こんな防音の密室に2人きりでいるとは。
「大丈夫、今日は部活もないらしいし…職員室じゃ話せないこともここならね」
グランドピアノに体を預け品定めするように俺を見る
なぜだろう、ただの言葉もコイツが言うと含みがあるように聞こえ…淫靡な匂いさえする。
庄野はピアノの蓋を開け、軽やかにドビュッシーの月の光を弾き始めた。
「ピアノを聴きたくてきたんじゃないけど」
その素晴らしい指捌きに魅せられながら、かろうじて呟いた。
庄野は俺に微笑んだ。
初めてみせた無邪気な笑顔だ。
そんな顔をするとまるで害のない人間に見える。
「もう少し傍においで」
柔らかな旋律にのるような甘い声。
俺は、どうしようもなく心臓が高鳴っていた。
離れた方がいい。
コイツは危険だ。
それなのに足は踏み出し、気づけば庄野の真横に俺はいて…
ふいにピアノは鳴り止み、庄野は冷たい指で俺の手を取った。
「この前はすまなかった」
…どうしたら
手を手に添える、それだけの動作を
これだけ甘美に感じさせられるんだろう?
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