ラヴァーズ 7
二人で連れだって歩きながら、俺はこの痺れるような感覚が自分だけのものなのかお互いから発するものなのか…はかりかねていた。
かつて出会ったとたんに、惹かれて寝たこともある。
付き合うとか、そういうんじゃなくひたすらに淫らな欲情にお互いが突き動かされて。
そういうときの電流に似た緊張感があるのは気のせいなのか?
あくまでもあれは男女間においての出来事だし。
けど
どうしようもなく惹かれている。
どうしようもなく欲情している。
高校の頃、冗談で男友達とディープキスしたことがあるが、その先は未知だ。
「泉堂さん…俺の…うちで飲み直しますか?」
その言葉は春の宵に漂い、妖しい余韻を残した。
喉が緊張からか渇いている
彼は微笑した。
ああ、その笑顔といったら
同性であることなんて問題にならない。
少なくとも俺は。
彼は傍まで歩み寄り グラスを撫でた手つきそのままに俺の手の甲に指を軽く滑らせた。
それは答えだ。
ふわり、と彼の肩に桜の花びらが落ち、二人で同時に見上げると
街灯の灯りに照らされた見事な桜が頭上に被さっていた。
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