必要悪 1
「…ははっ、お前…正気なわけ?
僕を好きだって…?」
藤咲燐はにっこり笑った。
長い足を邪魔臭そうに組んで、まっすぐな黒髪に指を通した。
「遠藤…翔真さん、だっけ…?」
俺の名前を味わうようにゆっくり吐き出して、笑顔はなおも張り付いたまま。
「なるほどね、明日で予備校も終わりだからダメ元ってわけ?」
声がでない、俺は…。
彼は面白そうに体を起こして目の前に立った。
そっと顔を近づけてくる。少しだけ爪先をあげて、耳元に唇を寄せる。
「…気持ちわりぃんだよ…糞が」
美しい顔立ちが歪むことのないまま、間近に俺を見つめていた。
真っ黒な、沼のように輝きのない瞳。
まだ少年ぽさの残る華奢な体から発されるオーラ。
それはかつて、感じたままの揺らぎ。
殺人者の、邪悪のオーラ。
俺は蛇に魅せられた蛙のように、その目を見下ろしていた。
ああ、やっとこの時がきた
やっと、「本当の君」を見つけた。
俺は震える指をその白い頬に伸ばした。
「燐」
囁く。
何の感情もない鮫のような瞳がまたたいた。
それから、静かに俺を見つめた。
「…木戸…?」
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「ポッキー」の官能小説
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