メテオリック・ボーイ 完
「………だから、この馬鹿げた構想から降りたいんだよ。
サヤはその構想通りになんて動いたりしない。
華宮さんへの罰も取り消して。
あの男子には別の方法を、問題解決策として提案してくれよ」
―怒ってる………?―
「サヤは…サヤとは俺がきちんと決着を着ける。
ここからだって、出ていくさ…。
…ああ…」
「ユウ…イチ」
「サヤ……。キミの問題が解決した」
「え…?」
「俺はキミを連れてこの街から出る。
いや、キミの名前も変える」
「名前を変える…」
「御ノ瀬紗弥になってくれ」
唐突に理解した。
わたしは、私はただ、
誰でもいい、ただ一人に愛されたかっただけなのだ。
御ノ瀬くんの瞳を真っ直ぐ見て、
そっと口付けを交わし、
私達は、もう見ることの無い街の景色を眺めた。
部屋を出る日に御ノ瀬くんは、
受付のおじいさんと、
華宮さんや男子たちのことについて話していた。
あのおじいさんが学園都市構想を考えた張本人だったらしかった。
「行こう」
「あのおじいさん…」
「君たちの言い分は綺麗事だが、それを実行する君たちの姿は、本当に綺麗だ。だって。
意味わかんないな」
「……綺麗事なんかじゃないよ。
どんな街にも、必ず私達と同じ考えの人がいる。
愛する人がいれば良いって人が、必ず」
「さぁ、お義父さんに挨拶に行こうか…」
彼の腕にしがみついて、
私は歩き出した。
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