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夜鷹の床(41)

[791] うなぎ 2012-02-13投稿
「その代わり、くれぐれも粗相の無ぇように……分かってるな」
 その歪んだ笑顔は床に額を擦り付ける紫乃からは見えない。峰岸はすでに久間と茶屋で話して来たらしく、二人して顔が赤かった。しかしまだ飲み足りない様子で、お理津の酌も一気に飲み干す。
「さて、私はこれで退散します。ごゆるりとお遊び下さい」
「おお、すまんな久間。……二人とも、好きにしていいのだな」
「左様で」
「だ、旦那、紫乃ちゃんは……」
「お理津、分かってんだろ。ご無礼の無いように」
 それだけ言って、久間は紫乃を呼び付けた。そして、袖の下から一分銀を彼女の手に忍ばせる。
「手当てだ。これでお前たちも暫くは食えるだろう」
 紫乃はその四角い粒を見つめ、握り締める。振り向けばお理津は峰岸に小袖の帯を解かれていた。
「お理津と申したな。いい体をしておる。肉付きが無いのも俺の好みだぞ」
 濡れ易い性分なのか。故に夜鷹も続けて来れたのだろう。お理津は座ったまま裸けた胸を吸われ、既に喘ぎ声。紫乃は膳を下げて布団を敷く。そして水を満たした小さなタライを枕元に置き、手拭いを湿らせた。気が付けば久間はもう居ない。
「ほう。気が利くではないか」
 終始無言で峰岸の額の汗を拭う。締め切った部屋は蝋燭の炎が揺らめくだけで、峰岸とお理津の肌から噴き出す汗粒を輝かせていた。
「紫乃と言ったな。俺の帯も解いてくれ」
 峰岸はお理津を布団に寝かせ、紫乃に手伝わせながら肌を出してゆく。脱がせた着物を彼女は丁寧に折り畳み、下帯も緩める。現れた玉鞫は、すでに怒張。
「んぁ……」
 目の前で繰り広げられる絡み合いを見詰め、息の荒くなる紫乃。立ち昇る淫靡な湿気を胸一杯に吸い込んで、ため息。
「この濡れ様、益々気に入ったわ」
「ん……峯岸様の指が、お上手なんですよお」
「はは、言うわ。ならばもっと濡らしてやろう。おい、お前も手伝え」
 ほんの一瞬、紫乃の目が輝いたのを、峯岸は目敏く見逃さなかった。乳房は紫乃の指と口、下半身は峯岸の指に攻められ、身を捩るお理津。紫乃は彼女の感じる壺をすっかりわきまえているようで、突起の周囲を羽のように躍る。
「どうだ」
「はっ……狂って、しまい、ます!」
「ははは、狂ってしまえ狂ってしまえ」

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