new 1
―――可愛くないコねぇ…。
どうしてあんなのウチに……。
(うるさい…)
―――仕方がないだろう。
兄さんがああなってしまえば…。
(……父さん、父さん…!)
コンコン
丁寧にノックをする音で、どうにか耳を盗み聞きから離せた。
ベッドからは起き上がらず、
うっすらと碧い瞳をドアに向け、掠れた返事をした。
恐る恐るこの部屋の以前の住人が入ってきた。
「ティアちゃん、今大丈夫?」
「うん、少し眠りかけてた…」
碧い瞳をした少女はティアという名で呼ばれ、少し表情を和らげた。
苗字で呼ばれて、よそよそしくされるとばかり思っていたからだ。
「倫子(ノリコ)、私に部屋くれて、有難うね。ごめん、こんなに良い部屋」
「ううん、仕方ないよ!ティアちゃんこそ大丈夫?その…」
ティアは必死に笑顔を繕ったが、泣き腫らした顔が痛々しかった。
「お母さんが見つかれば、お父さんも帰ってくるんでしょ?」
「うん、書き置きにはそう書いてあった。イギリスだもんなぁ。私には縁がないや…」
そう言ってベッドに投げ出した長い髪は、眩しい金だった。
倫子はきらきらした瞳で彼女を見ていた。
どうしてあんなのウチに……。
(うるさい…)
―――仕方がないだろう。
兄さんがああなってしまえば…。
(……父さん、父さん…!)
コンコン
丁寧にノックをする音で、どうにか耳を盗み聞きから離せた。
ベッドからは起き上がらず、
うっすらと碧い瞳をドアに向け、掠れた返事をした。
恐る恐るこの部屋の以前の住人が入ってきた。
「ティアちゃん、今大丈夫?」
「うん、少し眠りかけてた…」
碧い瞳をした少女はティアという名で呼ばれ、少し表情を和らげた。
苗字で呼ばれて、よそよそしくされるとばかり思っていたからだ。
「倫子(ノリコ)、私に部屋くれて、有難うね。ごめん、こんなに良い部屋」
「ううん、仕方ないよ!ティアちゃんこそ大丈夫?その…」
ティアは必死に笑顔を繕ったが、泣き腫らした顔が痛々しかった。
「お母さんが見つかれば、お父さんも帰ってくるんでしょ?」
「うん、書き置きにはそう書いてあった。イギリスだもんなぁ。私には縁がないや…」
そう言ってベッドに投げ出した長い髪は、眩しい金だった。
倫子はきらきらした瞳で彼女を見ていた。
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