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彼女の望んだ解答 Q19

[2775] 輪廻 2012-07-24投稿
その日の夜、恭太を、一人暮らししている自宅まで送り届け、雪美は帰宅した。

がらんと片付いた室内には、雪美だけがぽつんと取り残されていた。

「恭太……」

かつてない孤独感が彼女を蝕んだ。
自らの体を抱くと、髪から塩の香りがした。

(髪…洗わないと……)

バスタブに湯を溜める間、
雪美はぼーっとしていた。

――今までの孤独に満ちた人生。
両親は教師の夢を反対しても、私は死に物狂いで勉強して、彼に追いついて…。
そうして自力で手に入れるはずだったモノ。
突然、手に入ってしまったモノ。
夢だったモノ。―――

(胸が苦しい…)

急に転がり込んできた『愛情』を、
雪美は無意識に欲していた。

――彼に優しくしてもらいたい…。
彼にくすぐったい言葉をかけてもらいたい。
彼に…抱きしめられたい。
彼に……―――

雪美は脱衣場で、自らの裸体を眺めた。

――彼とは年齢が離れている。

本当に、こんな私を求めてくれているのか?

興味本意だったら…。

体を重ねるだけの…。―――

雪美は頭を振った。
卑下していたと自覚したそばから、
二人の愛情に自信をなくしていた。
無論、雪美は恭太の言葉のどれ一つとして疑う余地は無いし、疑うはずがなかった。
恭太も、興味本意や体を目的に、雪美と関係を結んだはずもなかった。

疑う余地は無い。

(じゃあ…でも…。何故…何故……怖いの…)

恭太を信じきれない、
雪美は欲求を盾にそんな自分を隠した。

早く彼に会いたい、
彼に何か言ってもらえたら、
彼に何かしてもらえたら、
こんな小さな不安、

「無くなるのに……。会いたい…会いたい…」

雪美は長い髪を湯船に浮かばせ、
ぼんやり恭太の顔を思い出していた。



翌週に、夏休みの学校周辺の夜の見回りがあるため、雪美は夕方まで毎日恭太を家に招いていた。

『する事』は、最早一つになっていた。

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