彼女が望んだ解答 Q24
「認められた…って、まるでアンタが雪美に認められてなかったみたいな言い方を…」
「彼女から……俺との出会いは聞いたかい?」
「何かのパーティーで会った…としか」
「そうか……。今日、俺がここに来たのは、この事件のことだけじゃない。俺は、雪美が回復するまで、彼女の代理を引き受けたんだ」
「ってことは…アンタも数学の…」
「本来なら大学の講義が優先だしこういう事は出来ないんだが、彼女のためなら…。いや、彼女の代理は俺がやるしかない」
「?」
「確かにあのパーティー自体は何か彼女の親族の企業と、俺の親の企業と、色んな大人が参加した、俺たち子供には関係の無いパーティーだった。問題は、俺と遊んでいた彼女だった」
雅次は立ち上がり、口の血を拭った。
「当時から俺は、大学教授か親の会社を継ぐか…難易度の高い選択肢ばかりを迫られていた。どちらにせよ俺は、必死に勉強するしかなく、世間でいう英才教育を受けていた」
雅次は嬉しそうに雪美のことを語りだした。
「当時、まだ幼い彼女に、俺は意地悪をして中学の因数分解の問題を出して遊んでやった…。解き方も基礎しか載ってない、粗末な問題プリントを……雪美は、小学校低学年にして全問解いたんだ…。ごく希にこういう天才の子はいると聞いていたから、面白半分で俺は、毎年毎年、パーティーで会うたびに彼女にハードルを上げた数学の問題を出してやった……」
「雪美は…雪美はそれを勘違いして…!!」
「気づけば、彼女は俺を振り向かせるため勉強漬けになってしまっていた…!!
最後は、親御さんの反対を押し切って俺の大学にまで……。」
――まさつぐ兄ちゃん!できた!
――雅次さん、合ってます?
――ね、雅次さん、私きっとあなたのいる大学に合格してみせるから…
「お前……雪美は、本気で…!!」
「分かっていた!だけど、どうしようもなかった…!冷たく突き放す意味も無かったし、そんなことをしたら益々彼女は…!!だから…せめて彼女の代理をと…引き受けたんだ……」
「お前…アンタを本気で…雪美は…!!」
しかし、雅次が悪気をもって彼女に接していたわけでないのは、恭太も分かっていた。
ほんの些細ないたずら。
遊び相手になったはずの雅次は、
気づけば雪美の全てになっていたのだ。
「彼女から……俺との出会いは聞いたかい?」
「何かのパーティーで会った…としか」
「そうか……。今日、俺がここに来たのは、この事件のことだけじゃない。俺は、雪美が回復するまで、彼女の代理を引き受けたんだ」
「ってことは…アンタも数学の…」
「本来なら大学の講義が優先だしこういう事は出来ないんだが、彼女のためなら…。いや、彼女の代理は俺がやるしかない」
「?」
「確かにあのパーティー自体は何か彼女の親族の企業と、俺の親の企業と、色んな大人が参加した、俺たち子供には関係の無いパーティーだった。問題は、俺と遊んでいた彼女だった」
雅次は立ち上がり、口の血を拭った。
「当時から俺は、大学教授か親の会社を継ぐか…難易度の高い選択肢ばかりを迫られていた。どちらにせよ俺は、必死に勉強するしかなく、世間でいう英才教育を受けていた」
雅次は嬉しそうに雪美のことを語りだした。
「当時、まだ幼い彼女に、俺は意地悪をして中学の因数分解の問題を出して遊んでやった…。解き方も基礎しか載ってない、粗末な問題プリントを……雪美は、小学校低学年にして全問解いたんだ…。ごく希にこういう天才の子はいると聞いていたから、面白半分で俺は、毎年毎年、パーティーで会うたびに彼女にハードルを上げた数学の問題を出してやった……」
「雪美は…雪美はそれを勘違いして…!!」
「気づけば、彼女は俺を振り向かせるため勉強漬けになってしまっていた…!!
最後は、親御さんの反対を押し切って俺の大学にまで……。」
――まさつぐ兄ちゃん!できた!
――雅次さん、合ってます?
――ね、雅次さん、私きっとあなたのいる大学に合格してみせるから…
「お前……雪美は、本気で…!!」
「分かっていた!だけど、どうしようもなかった…!冷たく突き放す意味も無かったし、そんなことをしたら益々彼女は…!!だから…せめて彼女の代理をと…引き受けたんだ……」
「お前…アンタを本気で…雪美は…!!」
しかし、雅次が悪気をもって彼女に接していたわけでないのは、恭太も分かっていた。
ほんの些細ないたずら。
遊び相手になったはずの雅次は、
気づけば雪美の全てになっていたのだ。
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