the angel make love END
コーヒーカップの中心にはハンドルが付いており、
子どもの言った通り回すと、花子の座るコーヒーカップの前に辿り着いた。
花子は布切れ一枚の姿からは一変し、
花柄のワンピースに、お揃いの花飾りを髪に付けていた。
「………へぇ…変わるもんだな」
「惚れ直しました……?なんて…」
「…ああ」
「…なっ……。
…それで…どうなったんですか…。
…行き先」
「なぁ…ちょっとここ、ぶらつこうぜ」
貴斗は花子のコーヒーカップに乗り換え、
しばらく、ゆっくりと…ハンドルを回した。
「あ、そういやお前…なんでそんな格好してんの?」
「さっき変な子どもが来て、結果が出るまで待ってろって…。あいつならこれでイチコロとかなんとか言ってて…。
よく分かりませんけど、その子どもがくれた服です。
これ可愛いけど、寮に戻ったら怒られそう…」
「花…………花子…」
「はい?」
「生まれ変わったら…一緒に暮らさないか?」
「ふふ、ふふふふ、なんですかっ?それ。
あ、貴斗さんなりの口説き文句?」
「ああ」
「ふふ、たまに、面白い冗談言うんですね」
「さっき…あの子どもに行き先を告げられた」
「え……」
「お主、あそこの案内人と一緒に…
…現世で生まれ変われ………だとよ」
「生まれ……変わる?」
「ああ…。そうだ。…花子の腹の子な……名前も無くて、生まれてこれなくてもな…天国行き確定なんだとさ」
「え…?」
「そういう子どもは、次の神様になるために勉強するんだとよ。
神様候補ってわけだ。良かったな」
「………………そう……良かっ…た。
…………本当に…良かった……!」
「花子…お前は、生まれ変わるか?」
「恐い…怖いですよ…。……でも」
「まぁ…大丈夫だろ、…俺がいる」
花子はぱあっと笑って、頷いた。
二人を乗せたコーヒーカップは、
やがて二つの運河の分岐点まで到達し、
そこに二つのコーヒーカップが用意されていた。
貴斗と花子は別々のコーヒーカップに乗り換えた。
「………じゃあ、また後で」
「ふふ、何年先かは分からないけどね」
「花子」
「…貴斗」
「愛してる」
二人は運河が流れ出る海、
その水平線の遥か向こうへと消えていった。
完
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「輪廻」の官能小説
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