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the angel make love END

[2106] 輪廻 2012-08-10投稿

コーヒーカップの中心にはハンドルが付いており、
子どもの言った通り回すと、花子の座るコーヒーカップの前に辿り着いた。


花子は布切れ一枚の姿からは一変し、
花柄のワンピースに、お揃いの花飾りを髪に付けていた。


「………へぇ…変わるもんだな」

「惚れ直しました……?なんて…」

「…ああ」

「…なっ……。
…それで…どうなったんですか…。
…行き先」

「なぁ…ちょっとここ、ぶらつこうぜ」

貴斗は花子のコーヒーカップに乗り換え、
しばらく、ゆっくりと…ハンドルを回した。



「あ、そういやお前…なんでそんな格好してんの?」

「さっき変な子どもが来て、結果が出るまで待ってろって…。あいつならこれでイチコロとかなんとか言ってて…。
よく分かりませんけど、その子どもがくれた服です。
これ可愛いけど、寮に戻ったら怒られそう…」


「花…………花子…」

「はい?」


「生まれ変わったら…一緒に暮らさないか?」


「ふふ、ふふふふ、なんですかっ?それ。
あ、貴斗さんなりの口説き文句?」

「ああ」

「ふふ、たまに、面白い冗談言うんですね」


「さっき…あの子どもに行き先を告げられた」


「え……」


「お主、あそこの案内人と一緒に…
…現世で生まれ変われ………だとよ」

「生まれ……変わる?」


「ああ…。そうだ。…花子の腹の子な……名前も無くて、生まれてこれなくてもな…天国行き確定なんだとさ」

「え…?」

「そういう子どもは、次の神様になるために勉強するんだとよ。
神様候補ってわけだ。良かったな」

「………………そう……良かっ…た。
…………本当に…良かった……!」


「花子…お前は、生まれ変わるか?」

「恐い…怖いですよ…。……でも」

「まぁ…大丈夫だろ、…俺がいる」

花子はぱあっと笑って、頷いた。


二人を乗せたコーヒーカップは、
やがて二つの運河の分岐点まで到達し、
そこに二つのコーヒーカップが用意されていた。

貴斗と花子は別々のコーヒーカップに乗り換えた。


「………じゃあ、また後で」

「ふふ、何年先かは分からないけどね」


「花子」

「…貴斗」


「愛してる」

二人は運河が流れ出る海、
その水平線の遥か向こうへと消えていった。


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