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トイレの花子さんと?

[2193] 通行人A 2014-04-18投稿

「ばぁーーーか!!」


「いなくなっちゃえっ」







クラスメイトのそんな罵声が聞こえた瞬間。


ーーザバァァッ

『っ!!』

トイレの個室にいた里沙めがけて大量の水が降り注いだ。



「ごめーん♪手がすべったみたーいっ」


「じゃ、またあしたねーっ」


クスクスと邪気のある笑いを残して犯人は去っていく。


『っ』

夏とはいえ、人気のない部活棟の地下トイレは冷え込む。ましてや、冷水を頭からかけられ、全身水浸しにされた。

制服が水をすって里沙の体をつつむ。


『…っ』

里沙の目尻に涙がうかんだ。


その時。





<おんなじ人間同士なのにひどいことするのねぇ>


まだ幼い、甘えを含んだ声が里沙にかけられた。



『え…??』

勢いよく顔をあげ、辺りを見回すもそこに人影はない。


<ふふっ>


『だ…だれ?だれかいるんですか…?』


震える声でその声に呼び掛ける。


が、ひとの気配はしない。


<ここよ>

閉まったドア越しに外の様子をうかがっていた里沙は、ギクリとする。

今、耳元で、声がした。



ここは、滅多にひとの来ないトイレで。


放課後とあればなおさら人は来ない。

ー先程のように例外はあるけれど。


当然のことながら、個室に入っているのは里沙ひとりのはず。



<可愛いわね>

ふぅ、と耳元に吐息がかけられた。


『……あ…』

ガクガクと震えながら里沙はゆっくりと振り向いた。



そこには、黒髪でおかっぱの少女が存在していた。




『……え……』


里沙の目が見開かれる。


<こんにちは>

年のころは小学生くらいだろうか。


無邪気な笑顔だけを見れば、かわいらしい女の子。


ただ、そのからだは重力に反して



浮かんでいた。








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