転校生 4話
大池をのぞむ外周の草むらは、虫の鳴き声でやかましい。
季節がら仕方ないが、時おり顔にバッタが当たってきさえした。
それでもジョギングは心地よい。
久しぶりの走り出しのおっくうさも、全身の血液がめぐるにつれ、爽快な気分に転じてくる。
時おり散歩中の老夫婦とすれちがう他は、誰もいない、灯りさえまばらな中をひたすらペースを保ち走った。
ふと、遠巻きに自転車のライトが揺れているのが見えてきた。
ようよう近づくにつれて、瞬間、自分の名前を呼ばれた事に気づいた時は、心底ぎょっとした。
「広山くん!」
ケイコだった。
驚いたような大きな目をこちらを向けながら、彼女は自転車をゆっくりと降りた。
「…夜、走ってるんだ。健康にいいね」
その瞳に不思議な光をたたえながら、ケイコは僕を見据えた。
「あ、ああ。まぁな。よかったら、ちょっと歩こうか」
自分でもよくわからない程、胸が高鳴っていた。
季節がら仕方ないが、時おり顔にバッタが当たってきさえした。
それでもジョギングは心地よい。
久しぶりの走り出しのおっくうさも、全身の血液がめぐるにつれ、爽快な気分に転じてくる。
時おり散歩中の老夫婦とすれちがう他は、誰もいない、灯りさえまばらな中をひたすらペースを保ち走った。
ふと、遠巻きに自転車のライトが揺れているのが見えてきた。
ようよう近づくにつれて、瞬間、自分の名前を呼ばれた事に気づいた時は、心底ぎょっとした。
「広山くん!」
ケイコだった。
驚いたような大きな目をこちらを向けながら、彼女は自転車をゆっくりと降りた。
「…夜、走ってるんだ。健康にいいね」
その瞳に不思議な光をたたえながら、ケイコは僕を見据えた。
「あ、ああ。まぁな。よかったら、ちょっと歩こうか」
自分でもよくわからない程、胸が高鳴っていた。
感想
感想はありません。