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 引き籠る陰茎 〜ねじれたロザリオ〜 ラスト

[614] Ajuming‐X 2014-11-26投稿
ダリアは微笑み、言った。
「アタシたちのこの行為は罪ではないの。みんな、やっているハズの事。ただ楽しいハズの事。それだけ。アタシ、楽しかった。嬉しかった。ありがとう」
女は男の頬に触れ、食べるような口づけをした。
目を開けるともうそこにダリアの姿はなかった。
禁忌(Tabu)とは何なのだろう……男は遠くのほうでそんな思いがフッとよぎったが、それもすぐに通り過ぎた。ただ愛の意義だけが空回りしていた。
     †
     †
     †
以上が、僕が誰かに話してもけっして信じてはもらえない真実のすべてです。
いまや僕は何も手につかず心ばかりがせわしない日々を送っているのです。
庭を眺めると確かにそこには‘ダリア’は居る。でも僕はそれでもしかし、考えてしまうのです。


―「誰かこの僕をもう一度、壊してはくれまいか?」――…

僕はダリアに水を与えます。見返りなど求めません。ただダリアが死んでしまわないよう、喉が乾かないよう、生き続けられるよう、毎朝水を与えるのです。
そうする事によって、僕自身も生きられるのです。
僕のすべてを奪っていったダリア。愛しくて憎い、ダリア。
それらのものが、愛情の感情というものだと言うのならば僕はもう少し、‘人間’として生きてみても悪くはないんじゃないかと思うのです。
僕はそう、思うのです。



        〈完〉

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