ぎりぎりの線?
私達ふた組の夫婦は互いにエル字に向き合ってソファーに座っている。佳奈と私はその角に隣り合って座っているためお互いの爪先が交差して触れ合う。私が動かさないのはある種不自然だった。小指がいつまでも離れないことに佳奈は違和感を持たないのだろうか。伸ばした爪先がより深く交差して、私の足先は土踏まずの辺りまで佳奈の爪先にかぶさった。佳奈はさすがに知らん振りというわけにはいかなくなったが、くすぐったそうにほほ笑んだだけで、足はどけない。私はドキドキしながら足の裏で佳奈の爪先を撫でた。佳奈は甘ったるい瞳で爪先を見つめている。
急に隣りの真理子が目を覚ました。二人の爪先が定位置に戻る。
「もう寝るわ。まだ起きてるつもり?」
ほどほどにね、と言い残して、真理子は部屋に退散した。
私は妻におやすみを言いながら佳奈の爪先を撫でていたが、隆も程なく目を覚まして、残念ながら私達はそれぞれの部屋に戻った。
30分ほど床にいたが、寝付けない。私は一人悶々として、台所でもう少し酔いを深めようと思った。廊下に出ると、パジャマを着た佳奈が現れた。
「眠れないんですか?」
急に隣りの真理子が目を覚ました。二人の爪先が定位置に戻る。
「もう寝るわ。まだ起きてるつもり?」
ほどほどにね、と言い残して、真理子は部屋に退散した。
私は妻におやすみを言いながら佳奈の爪先を撫でていたが、隆も程なく目を覚まして、残念ながら私達はそれぞれの部屋に戻った。
30分ほど床にいたが、寝付けない。私は一人悶々として、台所でもう少し酔いを深めようと思った。廊下に出ると、パジャマを着た佳奈が現れた。
「眠れないんですか?」
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