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恋愛モラトリアム プロローグ その2

[334] アメージング・ソルジャー 2017-08-15投稿
 それらの国々はある時は外の異文明と、またる時は同族同士での熾烈な謀略戦繰り広げてその結果、残った幾つかの国々が最終的な連合体を結成して今日へと至っていた。

「はあはあっ!!」

「はあーっ、はあーっ!!」

 その内の一つ、シルフィードと呼ばれる王国の首都ダグラス、その東側出入り口ゲート付近の最外郭地区、旧市街跡地に於いて一人の少年と大男とが互いに相争っていた。

 いや、争っていた、と言うのは適切ではない、何故ならば少年の方が圧倒的なまでにその大男を追い詰めていたのだから。

 そしてその二人の足下の遥か下には巨大な濁流が渦を巻いていたのだがここは別名、“嘆きの断崖”と呼ばれている、王都を囲むように走っている大地の裂け目でその深さは解っているだけでもおよそ四百メートル、幅は最大で百七十メートルもあってその両端は王都の側を流れている大河“セリーヌ”の河畔へとぶつかっていた。

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