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アルビレオ74

[328] エレクチオン 2018-06-29投稿
 その内の二人がここにいた、即ちナナミと真白であるがこれに対して留火が用いていたのは大津国流の中でも最も源流に近いとされる“香取流剣術”、それの亜流である。

 言うまでもなく香取流は古流中の古流であり、古くは塚原卜伝なども習得していたとされる剣法であったがただし、大津国ではこれを取り入れた際、自分たちに合うように密かに改造して組み直した、“相手に一切、何もさせずに一瞬で屠る”と言う、徹底した破壊と攻撃の型へと変貌させたのだ。

 もちろん。

元になった香取流や宮本武蔵直伝の二天一流等の影響もあって防御の型は存在するし、相手の剣の受け方なども身に付けはするものの、それもこれも全ては攻撃のためであり他の流派が自身を鍛える、争い事を納めると言ったことに主眼を置いたのに対し、彼らのそれはただひたすらに勝利、もっと言ってしまえば相手の全てを破壊する事を極意としていた。

 大津国流の継承者がどうして幼少の砌より、時には親を憎むほどの凄まじい修行を課されるのか、と言えば全てはこの剣術を完全に体得するためだ。

 一切を無に帰すほどの強大な力を生み出す肉体と、それに決して飲み込まれる事のない高い精神力、そして自分を包み込む、万物を瞬時に理解する鋭い洞察力と感受性。

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