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アブノーマル18~優子の過去11❬新たな恋の芽生えと恋の終わり❭~

[353] ぱんちょ 2021-03-25投稿
 剛志と出会ってから優子と弘治の関係がギクシャクし始めた。
弘治は優子が剛志と浮気をしていると思い込み、
優子につらくあたるようになった。
優子は心身ともに疲れていた。
親友だと思っていた美園は優子から弘治を奪うために、
陰では優子にいじめのような嫌がらせをしていたのだ。
相談できる人物は誰もいなかった。
 そんなある日の土曜日…
大学受験を控えている弘治は受験勉強で忙しくなり、
優子の部屋を訪れる機会が減っていた。
この日も模試があり、優子は部屋でのんびりしていた。
昼前にインターホンが鳴った。
ドアを開けると、剛志が立っていた。
「あら…こんにちは…
この前はありがとうございました。」
「その後…どうしてるかと思って、じっとしていられなくて、
遊びに来ちゃったよ。」
と剛志は無邪気な少年のような笑みを浮かべながら言った。
「まあ…」
優子は思わず、笑ってしまった。
「どうぞ、あがって下さい。」
「彼氏はいないのか?」
「今日は用事があって…」
「そうか…じゃあ、遠慮なく…」
剛志は優子の部屋に入っていった。
アパートの外でその様子を窺っていた人物がいた。
模試の会場に出かけたはずの弘治だった。
「やっぱりな…」
弘治は今日は模試を受けると優子に嘘をついて、
優子を泳がせることにしたのだ。
美園の計画により、
優子と弘治を別れさせるために送り込まれた剛志…
今日こそは必ず優子をモノにすると決意して、
優子の部屋を訪ねたのだ。
そんな事情を知らない弘治は優子が剛志を呼んだと誤解していた。
 その頃、優子の部屋では…
剛志は優子の部屋の居間に胡座をかいて座り、
部屋を見回した。
居間と言っても、四畳半の小さな部屋…
飾り気がなく、必要最小限のものしかなく、
質素な生活をしているのがよく分かった。
「君は一人で暮らしているのか?」
剛志の問いかけに優子は寂しそうな表情をしながら、
話してくれた。
父親が長い闘病生活を続けて、病院に入院していること…
その入院費と治療費…家庭を養うために、
母親が年の離れた妹を連れて出稼ぎに行っていること…
母親の仕事はクラブのホステスであること…
何不自由なく、裕福な家庭で育った剛志には心が打たれるような気分になった。
家族と別れて、この殺風景な部屋で、
同世代の彼氏とけなげに愛し合っていたのだろう…
アパートの前で弘治と鉢合わせになった時の
剛志を見る弘治の眼差しは憎悪に満ちていた。
それだけ弘治は本気で優子を愛しているのだ。
それに真面目そうな男だった。
剛志は今まで何人もの女を彼氏から奪って、寝とってきた。
女を寝とり、興奮すら感じた。
しかし、今回だけは弘治が哀れに思えてきた。
今まで寝とった女の彼氏の心配はしたことがなかった剛志だったが、
優子に出会ってから変わったような気がしていた。
優子とはもちろん、たくさんセックスはしたい。
でも…もっと…それ以上の深い仲になりたい…
剛志にとって、こんな思いをしたのは初めてだった。
女はセックスをするための道具…
愛し合っているカップルから女を奪い、
その女の気持ちが自分に振り向いてくれた時の満足感…
もちろん女に愛情などなかった。
しかし、優子は違った。
家族と別れて、
質素な生活をしながらも懸命に生きる少女に対して恋心が芽生え始めていた。
本来の計画ではこの場で優子を抱いて、
優子をモノにする予定だった。
優子とセックスして、優子を振り向かせる自信はあった。
でも…もっとお互いの気持ちを高めてからセックスしたい…
弘治と同じように優子と真剣に愛し合いたい…
そう思った剛志は、
「今日は何か予定はあるのか?」
と優子に聞いた。
「予定なんて…ありません。」
と優子は答えた。
「じゃあ、暇なんだな…?」
「暇なんて…ひどいわ…」
「ごめん…気が利かなくて…つい…」
剛志は頭を掻きながら、申し訳なさそうに言った。
「まあ…そのマイペースなところ…とてもいいです。」
「それって…誉められてるのかな…?」
剛志と優子は顔を見合わせて、笑ってしまった。
剛志と一緒にいると、楽しい…
優子もまた、剛志に対して恋心が芽生え始めていた。
「暇なんて言って、ごめんな…
予定がないなら、今日は俺とデートしないか?」
「私には彼氏がいるんですよ…
彼氏がいる女の子にデートだなんて…
本当にマイペースなのね…」
「駄目か…?」
剛志ががっかりしたように言うと、
「いいですよ…」
「本当か…?じゃあ、出掛けよう!」
その頃、アパートの外では弘治がアパートを見張っていた。
頃合いを見計らって、優子の部屋に乱入するつもりだった。。
優子が空手部の部室でモリタニとセックスしていた時と同じように
二人のセックスを撮影して、脅して、別れさせるつもりだった。
優子の部屋の合鍵を弘治は持っていた。
もうそろそろいいかな…と思っていると、
優子は剛志と一緒に部屋から出てきた。
優子は剛志と楽しそうに話をしながら、
出かけて行った。
弘治は思惑通りにならなかったことに腹を立てながら、
二人の跡をつけることにした。
 ちょうど昼時だったので、剛志は優子をステーキの店に誘った。
値段が高そうな店だった。
「こんな…お店…私…入れません…」
優子が言うと、
「俺が奢ってやるよ…」
「でも…悪いわ…」
「心配するな…ここのステーキ旨いぞ…さあ、行こう!」
剛志は優子の手を引っ張って、店に入った。
その様子を見て、弘治は不満そうに呟いた。
「ステーキか…?俺ももっと金があればな…」
弘治の家庭も裕福であるが、
厳格な両親は弘治に小遣いをたくさん渡すことはなかった。
剛志と優子がステーキを楽しんでいる時、
弘治は外で菓子パンを食べながら、
二人が出て来るのを待った。
一時間ほど経って、優子は剛志と一緒に店から出てきた。
「ご馳走さまでした。美味しかったです。」
と優子は満足そうに言った。
「旨かったろ?また来ような…?」
「はい…」
優子の奴…満足しやがって…
弘治は怪訝な表情をしながら、二人の様子を眺めていた。
次に剛志はお洒落な若い女性向けのブティックに優子を連れて行った。
「何か欲しいものがあったら、買ってやるよ。」
「そんな…いいです…」
拒む優子を無視して、剛志は店員を呼んだ。
「この子に似合う服をコーディネートして欲しいんだが…」
「はい、かしこまりました。」
店員はそう言って、ワンピースを二着持ってきた。
「こちらのワンピースはいかがでしょうか?
お客様は清楚な感じのこちらのワンピースがとてもお似合いだと思います。」
「そうだな…試着してみろよ…」
「でも…」
「いいから…」
優子は剛志に言われるまま、試着室でワンピースに着替えて、
試着室から出た。
「すげえ…可愛いよ…」
「本当によくお似合いですよ。」
花柄の上品な感じを引き出したお嬢様が着るようなワンピースを着た優子に
剛志は見とれてしまった。
続けて試着したワンピースは淡いピンク色のもので、
こちらも上品な感じで、優子にとてもよく似合っていた。
「これもいいなあ…どこかのお嬢様みたいだ…」
「そうですね。こちらもお客様によくお似合いです。
上に羽織るものもあると、よろしいかと思いますが、
ブルゾンとトレンチコートはいかがでしょうか?」
「そうだな…このワンピースに似合うものを持ってきてくれ。」
「かしこまりました。」
店員は花柄とピンクのワンピースに似合うブルゾンとトレンチコートを持ってきた。
優子がブルゾンとトレンチコートを試着してみると、
「なかなか似合ってるよ…」
「大人の雰囲気が出て、お客様の品のよさがよく出ていらっしゃいます。」
「気に入った。全部もらっていこう。」
「悪いです…私…要りません…」
「いいんだって…俺…起業していて、金はあるから、心配するな…」
「どうなさいますか?」
「全部頂くよ。支払いはカードで。」
剛志はそう言って、クレジットカードを店員に渡した。
「ありがとうございます。ただいまお包みいたしますので、
少々お待ち下さい。」
「それと、このワンピースはこのまま着ていくから、
前の服は手提げ袋に入れて欲しいんだが…君もそれでいいな?」
剛志は優子に尋ねた。
「構いませんが、本当にこんな高価なもの…いいんですか?」
「いいんだ。よく似合ってるよ。」
「ありがとうございます。喜んで、頂きます。」
店まで着てきた優子の服を手提げ袋に入れてもらい、
ブルゾンとトレンチコートと花柄のワンピースを入れた手提げ袋を持ってきた。
総額5万円ほど…優子は剛志に申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
「本日はお買い上げありがとうございました。」
店員は店の外まで出て、頭を下げて、優子と剛志を見送ってくれた。
花柄のワンピースを試着した優子を見た時、
優子の美しさとあまりの可愛さに剛志は勃起してしまった。
ワイシャツの裾を出していたので、気づかれなかったが…
剛志のモノは下着からはみ出し、
下着やTシャツに先走りが染み込むのがよく分かるほど勃起してしまった。
剛志に力強い性欲が沸き上がってきた。
剛志は優子の手を力強く握り締めて、歩き出した。
優子は驚いたが、何だか嬉しい気分になった。
弘治とはセックス三昧で、デートをしたことはなかった。
剛志の手は大きく、彼の温もりが伝わってきた。
その様子を弘治が呆気に取られて、見ていた。
「ステーキご馳走してもらった上に、服まで買ってもらって…
手なんかつなぎやがって…
待てよ…店に入るまでは手をつないでいなかったよな…?
もしかしたら…あいつら…まだできていなかったのかも…
優子が言っていたことは本当だったんだ…
俺は…なんて…馬鹿なんだ…」
弘治は優子が剛志とできていると勘違いして、
優子につらく当たったことを後悔していた。
そうこうしているうちに剛志と優子は弘治の視界から消えていた。
優子は剛志と手をつないで、身体が火照ってきているような感じがした。
剛志は優子と手をつなぎながら、
優子の手のひらを軽く触れるように親指を動かしていた。
優子は感じてしまい、股間まで熱くなっていた。
剛志は手をつないで歩きながら、
優子の手のひらを愛撫していたのだ。
歩きながら、感じさせられている…
優子は剛志が欲しくて…欲しくて…たまらなくなってしまった。
それでも、少しの迷いはあった。
弘治を今でも愛している。
しかし、毎日の弘治との激しいセックスにより、
感度抜群の女に開発された優子は男が欲しくてたまらなくなってしまっていた。
剛志は優子が感じていることに気づいていた。
剛志は近くの公園の茂みの中に優子を連れて行き、
優子を抱きしめた。
優子も剛志に抱きついたきた。
「好きだ…」
「私も…」
剛志は優子に唇を重ねて、優子の口の中に舌を入れた。
優子は剛志の舌を吸いながら、剛志の股間に触れた。
「大きい…」
「またさわったな…?俺が…欲しいんだろ…?」
「欲しい…」
剛志と優子はラブホテルに入った。
「弘治…ごめんなさい…」
優子は心の中で呟いた。
剛志と親密な関係になることが、
後の人生を大きく狂わせることにこの時点では優子は気づいていなかった。
その頃、弘治は…
剛志と優子を見失った弘治はガックリと肩を落としながら、
帰路に就いていた。
今日一日…俺は何やってたんだろう…?
二人の跡をつけても、虚しいだけなのに…
剛志から優子を引き離し、連れ戻すことはできた。
でも、しなかった。
無理に優子を繋ぎ止めておくことに疲れていた。
剛志と優子は本当に楽しそうだった。
どうして…俺はあんな風にできなかったんだろう…?
モリタニから優子を奪い返して、自惚れていたのだろう…
優子とたくさんセックスをして、優子を満足させてきた。
これで優子は離れないと自信を持っていた。
セックス三昧で、デートをしなかったことに弘治は後悔していた。
街ゆくカップルたちは楽しそうだった。
セックスもしていると思うが、
その時その時を楽しんでいるように見えた。
剛志と優子のように値段が高そうな店ではなくても、よかったのではないか…?
やはり、一緒にいて、楽しいほうがいい…
弘治はそう感じた。
でも、もう遅い…
優子以上に愛せる女性は現れるのだろうか…?
優子は可愛らしく、優しい、母性本能が強い女性…
それが弘治の母性本能をくすぐって、弘治は優子が好きになった。
モリタニと剛志も同じなのだろう…
他の男に心を奪われた女を繋ぎ止めることが、
こんなにもはかなく、惨めなものだとは…
弘治は優子と別れる決意をした。



























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