蝉の声、ツンザク。2
りんごが木から落ちるように。朝がきて夜がくるように。そして――生きて死ぬように。これらのことのように、私たちが愛し合うのは至極当然なことだった。なぜなら、私と剛は生まれてから、ずっと一緒に過ごしてきたのだから。
私たちは公園への散歩を終え、家に帰ってきた。
私がキッチンで飲み物を用意していると、剛が来て手伝ってくれた。
「手伝うよ」
「ありがとね。はい麦茶」
剛に麦茶を渡す。
「それにしても暑かったね。身体のほうは大丈夫??」
剛がお盆にのせた麦茶を運びながら私に聞く。
「えぇ。逆に散歩くらいしなきゃ身体に悪いわよ」
「そう?ならいんだけどさ。……よっと」
剛は優しく微笑み、お盆を居間のテーブルに置いた。
二人は椅子に座り向き合う。
少しの静寂。氷がからん、と音をたて動いた。
「……ありがとね」
「えっ?なにが?」
剛は不意をついた私の呼び掛けに少し驚く。
「……あの……その心配してくれて……」
私はストローで麦茶をかき回しながら、しどろもどろになって言う。いまの私の顔は確実に赤いはず。
「なんだ、そんなことかよ。当たり前だろ?俺たち世界に二人だけの家族なんだから、それに――」
「あのっ……ちょっと汗流してくるからっ」
「ちょ……姉さん……ふぅ」
私はパタパタと音をたてながら、バスルームに向かった。
扉を強く閉める。大きな音がした。 私はどうしても剛の『それに』に、次ぐ言葉を聞くことができなかった。怖かった。
「それ」を言われてしまったら、私はどうにかなってしまいそうだったから。
目の奥が熱くなった。私は眼鏡をはずして、水滴をぬぐう。
――気分を変えなきゃ。
私は服を脱ぎ、シャワーを浴びた。
身体にあたる水の感触を剛に重ねることが、私にとっての精一杯だった。
「……剛。愛してる」
私たちは公園への散歩を終え、家に帰ってきた。
私がキッチンで飲み物を用意していると、剛が来て手伝ってくれた。
「手伝うよ」
「ありがとね。はい麦茶」
剛に麦茶を渡す。
「それにしても暑かったね。身体のほうは大丈夫??」
剛がお盆にのせた麦茶を運びながら私に聞く。
「えぇ。逆に散歩くらいしなきゃ身体に悪いわよ」
「そう?ならいんだけどさ。……よっと」
剛は優しく微笑み、お盆を居間のテーブルに置いた。
二人は椅子に座り向き合う。
少しの静寂。氷がからん、と音をたて動いた。
「……ありがとね」
「えっ?なにが?」
剛は不意をついた私の呼び掛けに少し驚く。
「……あの……その心配してくれて……」
私はストローで麦茶をかき回しながら、しどろもどろになって言う。いまの私の顔は確実に赤いはず。
「なんだ、そんなことかよ。当たり前だろ?俺たち世界に二人だけの家族なんだから、それに――」
「あのっ……ちょっと汗流してくるからっ」
「ちょ……姉さん……ふぅ」
私はパタパタと音をたてながら、バスルームに向かった。
扉を強く閉める。大きな音がした。 私はどうしても剛の『それに』に、次ぐ言葉を聞くことができなかった。怖かった。
「それ」を言われてしまったら、私はどうにかなってしまいそうだったから。
目の奥が熱くなった。私は眼鏡をはずして、水滴をぬぐう。
――気分を変えなきゃ。
私は服を脱ぎ、シャワーを浴びた。
身体にあたる水の感触を剛に重ねることが、私にとっての精一杯だった。
「……剛。愛してる」
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