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ひとりあそび。其の二

[5539]  うちは。  2006-08-28投稿
翌日。昨日のもやもやを消せずに、私は登校した。
そしていつものように席につき、ポッケに手を伸ばすと…

「あんた、まだそんな落ち込んでたの?」
「美和子!おはよう。」
「ま、くよくよなさんな。あたしも昨日ちょっと怒りすぎた。」
「ううん、いいの。そんなことより、大変なことが起きたのよ?」
「何?」
「携帯落とした☆」
「…あんたさ、前から思ってたけど。」
「何?」
「ちょっとは油断しない努力をしろっつのー!!щ(▼皿▼щ)」
「やっぱり怒ってんじゃーん!!」

結局、その日は携帯を見つけられず私は家に帰ることになった。

ああ、どうしよう。携帯がないと生きていけないよ…。
だって携帯なけりゃ彼氏と連絡とることすらできないんだよ?!
まぁ、今はいないけど。
とにかくそれはまずい!!何とかしなきゃ。まずは交番に行かなきゃでしょ?それから…。

「おい。」
「でも今私お金ない…。携帯買うなんて親に言ったら…」
「おい?」
「ああ〜!!それに中学の時の友達のアドとか全部入ってるんだ?!!」
「すいませんー?」
「何よ?!こっちは今それどころじゃっ」
目の前には結構カッコイイ男の人が立っていた。

「ごめん。取り込み中(?)なのに。」
「い、いえ!私貴方とどこかで会いましたっけ?」
「いや、初めましてだと思う。」

さてはナンパ?
こんな人気のない所で。私もまだまだ捨てたもんじゃない!ってか?(笑)
「今朝これ落としてなかった?」
「え?あっ!」
それはまさしく私の携帯。
「拾ったんだけど、どしたらいいかわかんなくて。でも、制服がS学園のだってわかったから。」
「そうだったんですか!すいません。私。」
「じゃ、そゆことで。」
「はい。ありがとうございます…。」

どうしよう。
これがまさに運命ってやつなんじゃない?!
こんな素敵な出会い滅多にないよ!恋に進展するには自分から踏み出さなくちゃ。やるのよ由香ー!!

「あの!よければですが、名前とか教えてください!」
「え?」
「あ、えと、お礼とか、したいなって…。」
一瞬、クスっと笑われたような気がした。
「小泉 龍。S学園の三年生。だったらメアド教えてよ。」

夢かもしれない。
横山由香、16歳の夏。
私にとって最初で最後の奇跡だった。





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