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あなたの指で蝶になりたい。

[3784]  柊リンゴ。  2006-09-02投稿
もうじき夏休みです。
遊びの計画を立てながらバイトもしなくちゃね。
なんて考える前に・・。

学生さんにはテストが待っていました。

梅雨の時期のおかげで蒸し暑いし、
はっきりしない天気のおかげで傘を持ち歩くこのわずらわしさ。
制服のズボンを膝までまくりあげて、
ノートで仰いでいる男子の多いこと。

「おまえら、見苦しいからそのズボンをなんとかしなさい!」
先生が見るに見かねて注意しまくりです。
「だらしない格好をするんじゃない。」

「暑いから仕方ないじゃんよ〜〜。」
ぶうぶう文句が出ます。

「みんなが暑いわけじゃないだろう。
ほら、後藤を見ろよ。涼しそうじゃないか。」

先生が指した生徒の後藤・・。

みんながすぐに反抗します。
「後藤は低体温なんですよ!
あいつ体温低いから暑さがわかんないんですよ!」

「おいおい逆だろう。
・・低体温なら、暑いのは耐えられないんじゃないか?」
先生が苦笑しながら後藤を見ます。

この騒ぎも聞こえないのか、知らん顔で窓の外を見ています。

「・・後藤。平熱何度?」
先生がこっちを見ろよ、といいたそうな顔をして聞いてみたのですが。

「・・35度2分・・。なんで?」
黒くて大きな瞳がいきなりこっちを見つめてきました。

「なんでって別に意味はないけどさ。低いな、ほんとに。」
先生がすこし、たじたじとしてしまいました。

「はあ。」
後藤は返事ともとれない言葉をつぶやいて、また窓の外を見ます。

「・・なにか外にいるのか?後藤。」
隣の席の子が聞きます。


「・・・なにもいないよ。
なにかいないかなと思ってみてるだけ。」


なんでしょうか、やけに落ち着いたこの態度は。
そしてひとに関わりたくないのか、距離を感じるこの返事!
隣の席の子はそれでも、後藤の視線を追いかけています。


「後藤は変わってるな・・。」
先生も見とれているようで、こころここにあらずな呟きです。

「・・せんせい。もうかえっていい?」
この光景に呆れた一部の生徒のおかげで先生は正気を取り戻しました。
「ああ!そうだそうだ。・・すまん。どうかしてたな今。」

「後藤に惚れちゃだめですよ〜先生。淫行ですよ。」

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