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星に願いを NO.19

[8349]  小椋都  2007-02-17投稿
時間は残酷にも過ぎていき、いよいよ秀太郎が一週間後に出ていってしまう頃、母から葉書が届いた。


『一度顔を見せに来て下さい。』


その一言だけだった。私はまだ母が許せず、その葉書を箱の奥にしまった。

私は毎日星を眺めては、時間が止まってくれるように祈った。だが、この日は星よりも大きな花火を眺めていた。

「秀太郎…。」

そう呟いた時、玄関が開いた。


秀太郎だった。


少し疲れた顔をしていた。

「お帰り。」

「うん。ただいま。」

「何か食べる?」

「うん。ビール買ってきた。花火見ながら乾杯しようぜ。」

私はキュウリと梅干しと茹でたピーナツを持ってベランダに出た。

秀太郎と二人で乾杯して花火を見ていた。

突然に鋭い光を感じた。

「え!?」

秀太郎がカメラを持っていた。

「何で撮ったの!?間抜けな顔してたでしょ?」

秀太郎は笑いながら言った。

「凄く間抜けな写真になるよ。」

今、この幸せな時間をどうかこのまま…このまま…。

花火はそろそろクライマックスなのか、音量と光が連打されている。

最後にとても大きな花火があがった。しばらくシンとした。

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