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バッテリー

[3553]  うさこ  2007-03-29投稿
 昨日―。
 相当ストレスがたまっているのか?智佳史は、酔い潰れてしまった。
「智佳史?大丈夫?」 
 道端に座り込んで嘔吐している智佳史の背中をさすりながら、春日は聞いた。「ごめん。俺、こんなに酒弱くはないんだけど…」
 フラフラと立ち上がる智佳史に、春日は肩をかす。「久しぶりに春日に会って話してたら、飲みすぎたかな…」
 こんな、智佳史を見るのは、初めてだった。
 春日の知ってる智佳史はいつもクールだった。
 マウンドの上で迷った時は、いつも智佳史が冷静にリードしてくれた。
 弱音を吐いたとこなんて見たことがなかった。
『ケガをして、野球を諦めた。今は、したくもない仕事をしている。野球以外じゃ駄目なんかも…』
 そう言って、弱る智佳史を見るのは、初めてのことだった。
(俺にだけ見せてくれてるの?) 
(智佳史も、俺のこと好きなの?)
 そんなふうに、自惚れてしまう。
 十年前に、言えなかった言葉。
『好きです』
 今なら、言える?

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