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艶夜の瞳?

[2040]  のえ  2006-01-14投稿
夕方学校から帰宅する途中、風音は妙な音を聞いた。いつもの道を歩いていたはずなのに、風音はいつの間にか、どうやって来たのか自分でも分からないところにいた。全てが或るようでいて、何もない空間。淡いクリーム色の、それでいて緑の草原のような場所。風が流れているような、流れていないような…。

「おいで」

風音ははっとして振り返った。背の高い黒い服を着た若い男が立っていた。全然知らない人だ―と思ったものの、どこかで見たような気もする。例えばその額の、引っ掻き傷―。
「…誰…ですか?」

恐る恐る尋ねる風音を、男が抱き締めた。

「シク…じゃないよね?」

低い声で男が答えた。

「分かってるなら何で聞くんだ…?」

風音は男を突き放した。

「じゃあ、シクってどういう意味?」
「…俺が黒猫だからだろ」

あっけにとられる風音に腕を回しながらシクが言った。

「俺がここへ風音を呼んだのはお前が発情してたからだ。これを逃したら俺にはもう他にチャンスがないと思ったんだ」

風音は頭が混乱すると同時に顔が赤くなるのを感じた。

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